個人ユーザーが保有する写真・動画・音楽・文書などのデジタルデータの容量は年々増え続けており、貴重なデータを消失させないために様々な保存方法が模索されてきた。かつては、パソコン上の膨大な電子データを外付けハードディスクなどに保存してバックアップを取る方法が主流だったが、ここ数年でクラウド型オンラインストレージサービスが多くの事業者から無料で提供されるようになり、クラウド上に電子データを保管するユーザーも増えている
ICT総研の調査・推計では、2014年度(2015年3月末)に2,788万人だった日本国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2017年度に4,353万人となり、2019年度には4,948万人へと増える見込みだ。このうち有料サービスの利用者数は、2017年度で1,157万人に達し、2019年度に1,365万人へと増加する。さらに、有料サービスの利用者が増加することで、個人向けクラウドストレージサービスの市場規模は2017年度で677億円、2019年度には775億円に拡大する見込みである。
ICT総研では個人向けクラウドストレージサービスの利用実態を把握するため、2017年4月にインターネットユーザー 4,292人へのWebアンケート調査を実施した。その結果、「現在有料サービスを利用している」と回答した利用者は10.9%に留まった。また、「現在無料サービスを利用している」利用者は28.7%であり、有料サービス利用者の倍以上存在することが判明した。多くのサービス事業者は自社のサービスを優先的に導入してもらうため、1ギガバイト?10ギガバイト程度までの利用を無料とするサービスを行っており、多くのユーザーがこれらの無料サービスを導入している。
「有料サービス」「無料サービス」の利用者を合わせると39.7%となるが、まだストレージサービスを利用していない非利用者は全体の60.3%を占めている。今後クラウドストレージ市場を拡大させるためには、まだ利用していない潜在ユーザーを開拓することが必要である。
また、有料サービス利用者のうち、毎月300円~1,000円までの料金を払っているユーザーが全体の49%を占めており、平均的な月額利用料金は500円程度となっているようだ。
男女別の利用率で見ると、有料サービスの利用率は男性が13.0%であるのに対して女性は8.7%と少なめである。年齢別では20代の有料サービス利用率が12.7%で他の年代と比べて高く、10代は無料サービスの利用率が42.2%で高い傾向が見られた。
インターネットユーザー4,292人へのアンケート調査の結果、クラウドストレージサービスの中で最も利用者数が多かったのは、iCloud Drive(アップル)で714人、次いでDropboxが579人、3位はGoogle Driveで551人、マイクロソフトOneDriveが4位で470人だった。米国系企業のサービスが上位を占める中で、ヤフージャパンが提供するYahoo!ボックスが299人で5位につけている。この他、Evernoteが6位で219人、Amazon Driveが150人という回答結果となった。多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まると思われるとしている。(編集担当:慶尾六郎)