2016 年度のTP世界市場はは前年度比 3.0%増の17億4,760 万枚 スマホなどの動きに連動し需要が鈍化

2017年05月16日 06:36

矢野経済研究所によると、静電容量方式タッチパネル(TP)世界市場は、スマートフォンやタブレット端末市場の動きに連動する形で需要が鈍化し、2016 年度の同市場規模(メーカー出荷数量ベース)は前年度比 103.0%の17億4,760 万枚であった。また、用途別に市場をみると、スマートフォン用が15億2,000 万枚(構成比87.0%)を占め、タブレット端末用は2億1,000万枚(同12.0%)、ノートPC用1,600万枚(同0.9%)、車載(カーナビ、DA等)用160万枚(同0.1%)と続いている。市場は 2017 年度も好調なスマートフォン向け需要により成長を続けるものの伸び率は鈍化し、2017 年度の静電容量方式 TP 世界市場規模(同ベース)は前年度比 101.9%の17億8,110万枚にとどまると予測する。

 静電容量方式 TP の構造は、ディスプレイ自体にタッチ機能を持たせたタイプの In-Cell(インセル)と On-Cell(オンセル、OCTAやY-OCTAを含む)、ディスプレイへの外付けとなるアウトセルタイプに区分される。まず、アウトセルタイプの静電容量方式TPの需要動向を見ると、Glass(ガラス)センサーを用いたTPは、スマートフォン用がインセルやオンセルタイプのTPと競合するほか、タブレット端末用やノートPC用では、GF2(カバーガラス+両面 ITO フィルム1枚、DITOタイプ)やITOフィルムの代わりにAgメッシュ・Cuメッシュ等のフィルムを基盤とするメタルメッシュ等のFilm(フィルム)センサーの採用拡大に伴い、ガラスセンサーを用いた TPの需要の縮小が続いている。

 フィルムセンサーを用いたアウトセルタイプの静電容量方式TPでは、GFF(カバーガラス+片面ITOフィルム2枚)が最も採用数の多い構造であり、ITO フィルムとOCAを1枚づつ削減できコスト削減と薄型化対応が可能なGF1(カバーガラス+片面 ITO フィルム1枚)とともに、ミドル・ローエンドのスマートフォン向けに依然として需要が堅調である。

 一方、ハイエンドのスマートフォン向けのフィルムセンサーでは、GF2(ITO Bridge タイプとDITOタイプの 2 種類有)が曲面形状ディスプレイの Bended タイプスマートフォン向けで需要を伸ばしている。ベースフィルムの片側にITOを2層積んだ ITO Bridge タイプのGF2は2014年秋に発売されたSamsungの「Galaxy Note Edge」での採用開始以来、Galaxy Edgeシリーズで採用されており、モデル数の増加に伴い採用が拡大している。

 また、曲面スマートフォンなどのデザイン性を重視し、Flexible OLED(Organic Light Emitting Diode)パネルの採用を検討する中国スマートフォンメーカーも増えている。これらのメーカーは、Flexible OLEDパネル用フィルムセンサーとして採用実績があり、薄型化が可能なITO Bridgeタイプの GF2 の採用を検討している。

 一方で、ベースフィルムの両面にITOがついたDITOタイプのGF2は、Apple の「iPad mini」への採用を皮切りに、「iPad Pro」等にも採用されている。また、Appleは 2017 年下期に発売予定の次期「iPhone」の一部モデルにFlexible OLEDパネルを搭載するが、同モデルではインセルタイプの静電容量方式TP に代えてアウトセルタイプのTPの採用を検討すると言われている。Appleの Flexible OLED搭載モデル向けTPにはフィルムセンサーの採用が有力視されており、自社タブレット端末向けでの採用実績に加え、薄型化・軽量化が可能な DITOタイプのGF2の採用を検討していると考えるとしている。(編集担当:慶尾六郎)