観光庁のまとめで、2月の海外旅行取扱いにおいて、HISがJTBより首位を奪還したことが明らかになった。12年ぶりに社長に復帰した創業者の澤田社長の下で経営再建中のHISであるが、澤田社長の経営手腕に今後も期待したい。
観光庁のまとめで、2月の海外旅行取扱いにおいて、HIS<エイチ・アイ・エス:8603>がJTBから首位を奪還したことが明らかになった。
2月の海外旅行取扱いはHIS(5社のグループ合計)329億円に対しJTB(15社のグループ合計)318億円となり、HISが1位となった。尚、JTBは主要グループ会社以外にも、グループ会社があるため(JTBワールドバケーションズ、JTBビジネストラベルソリューションズ)、それらグループを合わせると2月もJTBグループの取扱高はHISを上回っている。それでもHISがJTB主要グループの海外旅行取扱高を上回ったことは、大きなインパクトを有している。
HISの2016年10月期決算は当期純利益2億円となり、赤字転落一歩手前にまで陥っている。ヨーロッパで発生のテロ等の影響により、同社が得意とするヨーロッパ旅行の手控え発生が業績不振の主な理由であるが、同社は創業者の澤田氏が社長に復帰し陣頭指揮を行うことで、経営の立て直しを行っている。
ハウステンボスの再建を始め、数多くの企業の再建を手がけてきた澤田氏であるが、自らが創業のHISの社長に復帰するのは約12年ぶり。元々学生旅行に強いHISが、学生旅行の多い2月の海外旅行取扱高において、JTBを逆転したことは、テロ等の影響はあっても、同社の格安の海外旅行提供と言うビジネスモデルは未だ健在、と言うことができる。また前年同月比較において、JTBは横ばいなのに対し、同社は8.7%の伸びを示しており、澤田社長の指揮の下でHISの再建は着実に進んでいると考えられる。2月の逆転劇は今後、HIS再建の象徴となる可能性がある。
多くの企業再生を成功に導いてきた澤田氏が、自ら創業のHISの再建を行うことができるのか、社長復帰以降注目を集めてきた。2月の海外旅行取扱高でのHISのJTB逆転は、最初の成果と言える。今後は業績面において当期計画の売上高5800億円、経常利益230億円の達成が期待される。澤田社長の経営手腕に期待したい。(編集担当:久保田雄城)