総理徹底調査指示、総理意向に自民も本気度示せ

2017年06月10日 09:30

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自民党の二階俊博幹事長は「総理が国民の声に真摯に向き合い、徹底した追加調査を行っていきたいと言われているので、党としても総理の方針で結構だということで調査に入ることを支持している」と語った。

 学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の大学への獣医学部新設をめぐり、安倍晋三総理が5日の衆院決算委員会で答弁した「加計学園のために1校に絞ろうとしていたわけでなく、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る、新設は1校に限るという要件は、獣医師会等の慎重な意見に配慮した。獣医師会から要請があった」とした。

 ところが獣医師会は「養成などしていない」。「広域的に」などについて真っ向否定。新設には反対姿勢で、どうしても新設が必要なら1校新設を容認するにも4つの条件をクリアすることを求めていた。

 4条件とは(1)感染症対策や生物化学兵器に対する対応などの『新たなニーズ』が明らかであること(2)それが現在存在する国公立・私立の獣医学部や獣医学科では対応が困難であること(3)特区として開設を希望し、提案する主体が『このようにして従来の獣医学科とは異なる教育を行う』というカリキュラム内容や、それを行うに相応しい教授陣などの陣容を具体的に示すこと④現在不足が深刻化している牛や馬、豚などの『産業用動物』の治療に従事する獣医の供給の改善に資することだ。

 それでは、広域的にとは、だれの起案か。すると、山本幸三地方創生担当大臣は、広域的というのは自らの考えである旨を記者会見で語った。そして昨年11月9日の国家戦略特区諮問会議で「広域的に存在しない地域に限り、新設可能」と決めた。これにより、獣医学部新設を目指していた京都産業大学は締め出された。

 さらに、新たな展開が今週見られた。8日の参院の委員会で自由党の森ゆう子議員らにより、新設予定地の愛媛県今治市職員が2015年4月に首相官邸を訪れ、獣医師系養成大学の設置に関する協議を行っていたことを示す文書が示された。

 この問題、「総理の御意向」「内閣府の最高レベルが言っている」などの文書に始まり、まさに、政府側が「怪文書」あるいは「文書の存在は確認できなかった」と調べる前から否定し続け、再調査を回避するなかで、野党側が次々入手する新たな資料や前川喜平・前文部科学事務次官らの証言で政府説明と真逆の資料や情報が続出している。

 安倍晋三総理は9日「文書」について、松野博一文部科学大臣に「徹底的に調査するよう指示した」と記者団に語った。菅義偉官房長官は「追加調査の概要を早急に検討し、速やかに調査を行い、結果がまとまり次第公表する」と述べた。

 自民党の二階俊博幹事長は「総理が国民の声に真摯に向き合い、徹底した追加調査を行っていきたいと言われているので、党としても総理の方針で結構だということで調査に入ることを支持している」と語った。

 こうした中、党内に調査チームを設け取り組んでいる民進党は文科省の再調査について(1)昨年9月27日、11月8日のメール宛先に含まれる職員を対象に含める事(2)対象者個人のパソコンやメールのやり取り、紙の資料なども対象にすること(3)12日正午までに調査結果を報告すること」を求めた。

 徹底調査をするのであれば、これらの求めに文科省は応じる事、さらに、文書について総理が徹底調査を指示したことを「支持している」と自民党がいうのであれば、前川・前文部科学事務次官ら関係者の証人喚問や参考人招致についても与党の自民・公明は賛成することを決断すべきだろう。そこに政府・与党の本気度をみたい。(編集担当:森高龍二)