MM総研の発表によれば、日本企業が人工知能(AI)をビジネスに導入している割合は1.8%で、導入検討中が17.9%だった。これに対して、ドイツではAI導入済が4.9%、導入検討中が22.4%。米国では導入済1が3.3%、導入検討中が32.9%となり、いずれも日本よりも高い数値となった。
MM総研の発表によれば、日本企業が人工知能(AI)をビジネスに導入している割合は1.8%で、導入検討中が17.9%だった。これに対して、ドイツではAI導入済が4.9%、導入検討中が22.4%。米国では導入済1が3.3%、導入検討中が32.9%となり、いずれも日本よりも高い数値となった。ただし、AIの国内市場規模では2016年度が前年度比約2倍の2220億円となり、今後、年平均20.4%で成長。21年には5610億円に達するとの予測で、米独市場と比べて高い成長率を維持するとのこと。
MM総研は国内市場成長のポイントとしては、「利用者側のAIの技術理解向上」「豊富なデータを生かせる人材と業界ノウハウ」のほかに、「環境整備」を挙げている。データを収集する環境はWebやコンピューター上のみならず物理世界に及ぶため、AIのビジネス導入と並行してクラウド環境の整備が進められるとみられる。富士キメラ総研によれば、パブリッククラウド市場は拡大し続け20年度には15年度比2.5倍の5457億円にまで拡大するとのこと。既存システムからのIaaS/PaaSへの移行に加え、IoT(物のインターネット)やFinTech、オムニチャネルなどSoE(システム・オブ・エンゲージメント)用途で新規システムの基盤としてのクラウの利用が進むという。
システム基盤のクラウド化に伴い、特に重要視されているのが情報セキュリティ対策となる。IDC Japanによれば、情報セキュリティ投資の増減率が15年度比で「増加している」企業は26.9%。さらには17年度の見込みで16年度を上回るとした企業は全体の32.1%となり、情報セキュリティ投資が増加し続けている。この1年間でセキュリティ被害に遭った企業は全体の15.3%で、1割近くの企業がランサムウェア感染の被害を受けていた。復旧や賠償金などにかかった費用が500万円以上と回答した企業は65.2%で、被害を最小限にとどめるためにも情報セキュリティ投資を増やすことは理に適っている。攻撃手口も高度化しており、16年に確認されたランサムウェア攻撃全体を見ると、拡散の手法の約79%がメール経由によるものだが、5月12日以降猛威を振るっている「WannaCry」や「UIWIX」等ではマクロを実行やファイルのダウンロードなどの操作を一切行わなくても、IPアドレスの狙い撃ちで感染しネットワーク上で拡散する。こうしたサイバー脅威からの被害を免れるべく、企業のAIビジネス導入やシステム基盤のクラウド化は、情報セキュリティの強化とセットで進んでいくと見込まれる。(編集担当:久保田雄城)