諮問会議の民間議員の公平・中立に疑問 前総理

2017年06月20日 10:07

 安倍晋三総理は19日の記者会見で、学校法人加計学園(岡山市)の大学への獣医学部新設を巡る疑惑について「国家戦略特区において、行政が歪められたかを巡り大きな議論になった」としたうえで「獣医学部の新設は50年以上、まったく認められて来なかった。しかし、鳥インフルエンザ、口蹄疫など、動物から動物、動物から人に移るかもしれない伝染病が大きな問題になっている。専門家の育成、公務員獣医師の確保は喫緊の課題だ」と強調した。

 そのうえで「そうした時代のニーズにこたえる規制改革は行政を歪めるのではなく、歪んだ行政を正すもの」と主張。「国家戦略特区は民間メンバーが入って諮問会議や専門家が入ったワーキンググループにおいて議論を進め、決定されていく。議事は全て公開している。透明・公正・公平なプロセスこそが岩盤規制を打ち破る大きな力となる。獣医学部の新設でも、審議に携わった民間議員はプロセスに一点の曇りもないと断言している。岩盤規制改革の突破口だ」と加計学園ありきで獣医学部新設の審議が進んだものではない旨をアピールした。

 しかし、民進党の野田佳彦幹事長(前総理)は民間議員にも疑問を呈している。野田幹事長は自身のブログでも「国家戦略特区制度において特区の認定等について中心的な役割を果たすのが、総理を議長とする『諮問会議』です。この会議を巡っては、民間議員等が私的な利益の実現を図って議論を誘導し、または利益相反行為に当たる発言を行っているのではないかとの疑惑が、かねてより指摘されていました」と6月5日のブログで指摘している。

 その事例として、野田幹事長は「昨年7月、神奈川県の特区で規制緩和された家事支援外国人受入事業は、大手人材派遣会社が事業者に認定されました。諮問会議の民間議員の中には同社グループの会長がいました。審査する側が仕事を受注したわけですから、とても公正・中立とはいえません」と。また「農業分野で特区に指定された兵庫県養父市では、その人物が社外取締役を務める企業の子会社が参入しました」と、総理の言う「公平・公正」の徹底があるのか、疑問を呈している。

 野田幹事長は、行政が歪められたことがあったのか、なかったのか、明確にするためにも、「1日も早く証人喚問を実現し、真実を語ってほしい」と提起した。(編集担当:森高龍二)