英単語のリスニング能力向上で脳活動のパターンに着目 新教育法開発へ

2017年07月02日 15:29

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生体活動のパターンをモニタリングし、これに働きかけることで治療や能力向上に役立てるバイオフィードバックの有効性が多くの大学や研究機関などで証明されている。今回、脳活動のパターンを把握し学習に活用する手法が開発された。

 生体活動のパターンをモニタリングし、これに働きかけることで治療や能力向上に役立てるバイオフィードバックの有効性が多くの大学や研究機関などで証明されている。今回、脳活動のパターンを把握し学習に活用する手法が開発された。情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター、大阪大学大学院、北海道大学らは共同で、無意識に英単語のリスニング能力を高められるニューロフィードバック技術を開発した。同手法ではRとLの音の違いに反応する脳活動などを利用し、日本語にない音の違いを学習する。

 従来の英単語のリスニング学習では、聞いた音に対して学習者の認識を示し、正解か不正解かを参照するといったかたちをとっている。今回開発された手法では、音を聞いている時の脳波から、RとLの音の聞き分けに関連する脳活動のパターンを取り出し、円としてフィードバックする。学習者はこの円を大きくするようにイメージすることで、無自覚にリスニング能力が向上するもの。検証では5日間程度で両単語の音を聞き分けられたとのこと。このように、生体活動のフィードバックを活用することで効率よく学習能力を向上させられる。

 バイオフィードバックは、脳波や心電図、筋電図などの測定機器を使って生体情報を可視化。無意識化の生体活動を自覚して制御することで、うつや心的外傷後のストレス障害、発達障害などの治療、瞑想や学習での効果向上といった活用がなされている。ユニークなものでは、国際電気通信基礎技術研究所らが実施した、帯状皮質の活動パターンを可視化し制御することで、重要な社会認知機能である顔の好みを変化させられるといった研究結果もある。

 近年、ハードウェアの機能向上により脳波や心拍といったデータの取得がより容易になったことから、バイオフィードバックに関して、さまざまな分野での効果検証や新手法の開発が積極的に行われると考えられる。さらにはウェルネス向上に特化したウェアラブルデバイスやブレイントレーニング専用の脳波測定デバイスなど、コンシューマー向けの製品も開発されており、治療や健康、能力向上を目的としたバイオフィードバックの活用が広がることが期待される。(編集担当:久保田雄城)