課題は同時性の解消? 宅配ボックス「欲しい」7割

2017年07月13日 06:24

画・課題は同時性の解消?宅配ホ_ックス「欲しい」7割

ネットショッピングの普及に伴い、宅配便の数は急増しており物流現場の労働負荷が高まっている。特にAmazonやスマホが普及してきたあたりから加速度的にユーザ側の購入の障壁が下がっている。宅配ボックスは非常にシンプルなシステムだが、“同時性の解消”という点で配送業者・利用者双方のコスト削減に期待したい。

 ネットショッピングの普及に伴い宅配便の数は急増しており、物流現場の労働負荷が高まっている。不在による宅配便の再配達率は19.1%で、2割弱が再配達となっている(国交省調べ)。特にAmazonやスマホが普及してきたあたりから加速度的にユーザ側のネット購入の障壁が下がってきており、スマホさえあれば4?5分間のうちに大量の商品を買うことも可能である。2015年度は宅配便が1億3100万個増えており、その2割近くが再配達として1億5720万個増、ドライバーの労働量は2600万個分もよけいに運んでいるのに等しい。増え続ける荷物の再配達に対して改善が求められているなか、その解消策として宅配ボックスというピックアップポイントを活用しようという動きが再び注目を集めている。

 そんな中、不動産情報サービスのアットホームは、一戸建てに住む男女620名を対象に「一戸建ての宅配ボックスに対する意識調査」を実施した。宅配ボックスに対する認知度は79.7%と約8割が知っている一方で、一戸建て用の宅配ボックスについては45.8%と半数以下が知らないと回答、「宅配ボックス」はあくまでもマンションの設備であると認識している人が多いことがわかった。実際に一戸建て用の宅配ボックスの普及率は1割未満と非常に低く、今後の再配達の軽減策の伸びしろとして注目が高まっている。

 一戸建てに住んでいる方に、自宅に「宅配ボックス」があったら便利だと思うかを聞いたところ「便利だと思う」と回答した人は56.5%で、「どちらかというと便利だと思う」という人と合わせると9割にのぼった。実際に自宅に宅配ボックスが欲しいかについては、「欲しいと思う」「どちらかと言うと欲しいと思う」の合計は70.5%となっており、約7割の人は少なからず宅配ボックスが自宅にあった方が良いと感じている。年間のネットショッピングの利用頻度と自宅に宅配ボックスが欲しいかどうかを掛け合わせてみたところ、年間利用が5回未満の人は、「宅配ボックスが欲しいと思う」の合計が46.9%で半数以下なのに対し、5回以上で7割以上、50回以上利用する人は合計80.0%にのぼり、宅配利用回数が増えれば増えるほど、よりニーズがあることがわかった。

 宅配ボックスを「欲しい」と思う理由としては1位が「配達時間を気にせず外出できる」で2位は「再配達の手間が要らなくなる」との回答だった。昨今ニュースで取り上げられる宅配業者への負荷に対し気を配る一方で、自身の手間や煩わしい時間を極力減らしたいといういわゆる“時間コスト”への不安も感じられる結果となった。

 現代ではデバイスの発達により様々な方法で“同時性の解消”がなされている。一つしか無い身体を、デバイス上では複数持てるような時代だ。時間指定で2時間は外出できないなんて我慢できない、そんな人も宅配ボックスが自身の分身となり、荷物を代わりに受け取ってくれる。宅配ボックスは非常にシンプルなシステムだが、“同時性の解消”という点で配送業者・利用者双方のコスト削減に期待したい。(編集担当:久保田雄城)