2017年6月下旬、記録的な猛暑に見舞われたアメリカのアリゾナ州フェニックスでは、停電や交通機器の乱れ、さらには飛行機のフライトがキャンセルされる事態となった。この事態に航空会社は「小型飛行機CRJは高温の影響を受けやすいためこのような見合わせになった」とコメントを残し、小型飛行機が高温に弱いということが明らかとなった。
コロンビア大学とNASAでも、「猛暑日には荷物や旅客を4%まで最大で減らさなければ正しく運航できない」という研究結果を発表しており、地球温暖化の影響で航空機器の作動が将来的に制限されてしまうのではないかと話題になっている。
なぜ猛暑日だと航空機器の乱れが発生してしまうのか?パイロットで航空ジャーナリストのパトリック・スミス氏は著書の中で、「気温が高くなると空気の密度が低くなり、飛行機の浮力とエンジン性能が落ちる」という指摘が記載をしている。高温による航空機の機能低下が起こると、離陸するまでの距離が長くなってしまい滑走路をオーバーラン(上昇するための距離が足らない)してしまう危険性があるから、高温状態のフライトは交通危機に不調をきたす原因となるという。
アメリカのトランプ大統領は、6月に地球温暖化に関する「パリ協定」を離脱することを表明したばかりの出来事であり、自身が所有している航空機で将来的に全国を駆け抜けることはできないかもしれないと、皮肉交じりの意見もSNSなどで多く寄せられている。
国連の気象変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2100年に気温が約4度上昇する可能性を指摘している。現在の時点でも温暖化の影響を受けていると言われているが、今後も全世界の平均気温が上昇する兆しがあるというのだ。気温が上昇すれば環境の変化や交通の大幅な制限が予想され、私たちの生活環境が大きく変化する危険性がある。我々はそのことをもっと認知しなければならない。(編集担当:久保田雄城)