2045年には人類の知能を超える究極のコンピューターが誕生し、驚異的なスピードでテクノロジーを自己進化させる時代に突入するという「シンギュラリティ」やAI・ロボットが仕事を奪うといった、「AI脅威論」は一段落し、最近ではAI・ロボットをうまく活用することで、生活の利便性を高め業務効率化を図るといった「AI楽観論」が多く聞かれる。
2045年には人類の知能を超える究極のコンピューターが誕生し、驚異的なスピードでテクノロジーを自己進化させる時代に突入するという「シンギュラリティ」やAI・ロボットが仕事を奪うといった、「AI脅威論」は一段落し、最近ではAI・ロボットをうまく活用することで、生活の利便性を高め業務効率化を図るといった「AI楽観論」が多く聞かれる。こうしたなか、NTTデータは、「AI/ロボット等のテクノロジーによる自動化に対する意識調査」を行った。調査結果によれば、「システム、AI、ロボット等による人間の仕事の代替」については、「非常に楽しみであり効果に期待している」「期待をもっている」といったポジティブな回答が59.4%。これに対して「強い抵抗を感じる」、「少し抵抗を感じる」などのネガティブな回答が40.6%となり、ポジティブに捉えている人が多いことがわかる。
同調査では、「現在の仕事の何%がシステム、AI、ロボット等に代替されるか」との質問もしている。これに対して、「21-30%」との回答が最も多く全体の23.8%が回答。全体の平均で32%の仕事が代替されるとの予想が明らかになった。これは、参照されることが多い、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が示した「約47%」と比較するといささか楽観的な数字だ。また、代替される業務につては「手順や業務ルールが決まった作業」が89.6%となり、これに対して「コミュニケーションが発生する業務」(23.1%)や「創造性を要求される業務」(31.9%)に関しては代替可能性が低く見積もられていた。実際はAI技術の進化はめまぐるしく、ディープラーニングにより言葉だけでなく感情や環境を理解し臨機応変に対応するAIの開発が進められていることから、予想と違った結果になる可能性もある。
こうした楽観論に対して、一般大衆の想像力の欠如を指摘しているのが、テスラやスペースXのCEOイーロン・マスクだ。彼が未来に対して並外れて明確なビジョンを持っていることは周知の事実。世間がドローンに浮かれて空の開発を唱えていた時期に、トンネルを掘り地下交通網を整備する構想を発表し、プロジェクトを着実に前進させている。テクノロジーに関しての知見があり、開発を妨げる規制と戦ってきた彼が、7月15日には、AIが「人類文明が直面している最大のリスクである」とし、AI開発に関しては「今すぐ規制すべき」との意見を示している。我々は、AIが驚異的なスピードで自己進化するのを目の当たりにして初めて、事の重大さに気付くのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)