安倍晋三総理はじめ菅義偉官房長官らは「新たな事実が提示されれば、丁寧に、誠実に説明責任を果たす」と言い続けている。
そうは言っても、学校法人森友学園では国有地8億円値引き問題、学校法人加計学園では獣医学部新設を巡る国家戦略特区制度悪用疑惑の解消に、国会への証人喚問も、参考人招致も、ことごとく「国会のことは国会で」と自民が拒否することを計算づくで、逃げ込んでいる。
少なくとも、森友学園問題、加計学園疑惑は、安倍総理や昭恵総理夫人との関係性の中で招いている『不信』『疑惑』で、内閣改造後も本質部分は変わっていない。
閉会中審査後に「加計疑惑」では、2015年4月2日に愛媛県と今治市の職員が総理官邸で会っていた人物が『柳瀬唯夫総理補佐官』(当時)だったとの情報が出ている。
柳瀬氏は、閉会中審査で「私の記憶を辿る限り(今治市側と)会っていない」と繰り返し否定してきた。実際、どうであったのか、よくよく記憶を辿れば、国会答弁は記憶違いだったと思い出されるかもしれない。偽証罪に問われる証人喚問で、どのような協議を官邸で行っていたのか説明頂きたいと思うのは、筆者だけだろうか。
その2か月後となる2015年6月5日、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の会合に愛媛県、今治市の職員とともに、加計学園関係者3人が同席し、発言をしていた。
だが、WGは「加計学園の3人は提案者(今治市)の説明補助者として出席し、発言していたので、公式発言ではない」などとして議事要旨には加計学園関係者の出席や発言も記録に残さずにいた。
しかも、検証資料となる「速記録」や「会議録音データ」を今年3月6日(議事要旨公開日)の段階で、内閣府が廃棄したという。不都合な情報を隠滅したと勘繰りたくなる。廃棄も日本共産党の田村智子参院議員の内閣府への照会でわかったことだ。
文科省で見つかった「総理の御意向」文書の存在から始まった今回の加計疑惑。関係者の証人喚問は政治不信払しょくのため避けて通れない。政府・与党は肚を決めるべき。でなければ説明責任の本気度は皆無とみられるだろう。
あわせて、森友学園問題。国有地を売る側が「いくらまでなら支払える」などと買い手に打診し、1億6000万円までなら、の答えに結果的に枠内に収まる「1億3400万円」で売却していたと報じられている。
事実なら、佐川宣寿理財局長(当時=現・国税庁長官)が国会で虚偽答弁したことになる。佐川国税庁長官は長官就任記者会見もしないらしい。国有地売却に関する、今回のような新たな証言や資料(音声データ)に基づく質問が相次ぐことを懸念しているのだろうか。加計・森友問題では疑惑ばかりが膨らみ、政府・与党の逃げる姿勢ばかりが目につく。政府・与党に「逃げるな」と言いたい。
自民党総裁候補の一人とされる石破茂・元地方創生担当大臣は10日のブログに「多くの方々が我々自民党の政治姿勢に対して、かなりの違和感を抱いておられることも強く感じました」と先週末、地元・鳥取に帰った際のことを書き込んでいる。そのうえで「これを等閑視することなく、政治に反映させ、よりよい自民党をつくらねばなりません」と。問われているのは、まさに政治姿勢であることを真摯に受け止め、加計・森友問題に対しても、参考人招致や証人喚問を行うように改めるべきだろう。(編集担当:森高龍二)