「国民の声に耳澄ます」言葉通りの政治を求める

2017年08月05日 07:06

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「今日から新たなスタートです。謙虚に、丁寧に、一つ一つ結果を出していきたいと思います」。内閣改造から一夜明けた4日、安倍晋三総理が記者団に語った。正確には『国民に向け発信した』

 「今日から新たなスタートです。謙虚に、丁寧に、一つ一つ結果を出していきたいと思います」。内閣改造から一夜明けた4日、安倍晋三総理が記者団に語った。正確には『国民に向け発信した』。

 リセットし、政権奪還した時の初心に返って、経済最優先で国民の暮らしを豊かにし、安全保障の分野でも、安心・安全を確保していくために取り組む決意を示した。

 ただ、内閣改造後の記者会見冒頭に語った「国民の皆様の声に耳を澄まし、国民の皆様とともに、政治を前に進めていく」との言葉。今の安倍総理には、その言葉通りに実践することこそが国民に求められている。

 国民の声に耳を澄ませば、総理が語った「学校法人森友学園への国有地売却の件、学校法人加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、様々な問題が(国会で)指摘され、国民の皆様から大きな不信を招く結果となった」問題の疑惑や疑念は今も払拭されていない。

 総理には説明責任と疑惑に対する問題に関する情報開示、証人喚問や参考人招致をきちっと受け入れるよう、総理・総裁として対応してほしいとの声が聞こえるはずだ。一国の総理として私情にとらわれず、客観的に判断していくことこそが求められている。

 また、安倍総理は記者会見で、加計学園問題について「国家戦略特区での獣医学部新設では、内閣府と文部科学省との調整過程をめぐり、当事者間で『言った』『言わない』の水掛け論に陥り、疑念を招いた」とし「梶山弘志(地方創生・規制改革担当)大臣には、こうした省庁間の調整プロセスも含め、更なる透明性の向上に向け、特区制度の運用強化を進めてもらう」と語った。

 もちろん、透明性を高めること、文書を都合よく解釈し、不都合な文書を証拠隠滅のように廃棄するかのような行為ができないよう(業務に関わり作成される文書はメモも含め、全て、意思決定までの経緯を後に検証する重要資料として、長期保存するよう義務付ける見直しなどを)することを求めたい。
 
 そのうえで、指摘したいのだが、加計学園問題の本質は、省庁間の調整プロセスの在り方ではなく、総理・官邸の意向で国家戦略特区制度が悪用され、「加計学園ありき」で「行政が歪められたことがなかったか」だ。

 獣医学部新設について、公平・公正に、2015年の閣議決定に照らし、加計学園が本当に条件をクリアしていることを確認したうえで認可したのか。

 山本幸三前地方創生・規制改革担当大臣の国会答弁や記者ぶら下がり答弁では、客観的な裏付け資料が全く示されず、政府への不信感をつのらせるばかりだった。

 梶山地方創生・規制改革担当大臣には、山本前大臣が示せなかった資料を探し出し、国民の前に明らかにしてほしい。山本前大臣が特区で加計学園に決まる2か月前に日本獣医師会を訪れた際の秘書のメモもどこかにあるかもしれない。大臣の権限で、探して頂きたい。

 加計学園問題は、本質の部分を解明しない限り、国民の理解は得られないし、疑惑を払拭することができない。しかも本質部分が解明されないまま、8月末に文科大臣諮問機関の大学設置・学校法人審議会(設置審)が加計学園獣医学部新設に認可の答申をしたなら、審議会への信頼さえ揺らぎ始めることになるだろう。そうしたことにならないよう切に願う。(編集担当:森高龍二)