学校法人加計学園(岡山市)の獣医学部新設を認めた国家戦略特区での決定プロセスに不可解さが増す中、2015年6月5日の特区ワーキンググループ会合に加計学園関係者が3人参加し、発言していたにもかかわらず「提案者ではなく、提案者の説明補助者として参加、発言していたので公式な発言にはならない」(内閣府担当者)として参加者リストや発言記録に残されていなかった問題で、検証資料となる当日会合の「速記録」や「会議録音データ」が今年3月6日の段階で内閣府が廃棄していたことが日本共産党の田村智子参院議員の内閣府への照会で8日、明らかになった。
田村議員は7日夜に内閣府担当者から議員会館で説明を受けた際、議事録の音源、それを文字起こしした速記録が存在しているのかを質した。田村議員のツイッターによると、その際、内閣府側は「この場で答えられないので、持ち帰り確認する」と答えたとしている。
日本共産党の機関紙・赤旗は「森友学園と財務省との交渉記録や、防衛省の南スーダンPKO日報に続いて、安倍晋三政権の隠ぺい体質が改めて問われる事態になった」としている。
また「速記録などの廃棄は審議会の『議事の記録』を10年間保存するよう定めた内閣府の行政文書管理規則に違反する疑いがある」と提起した。
内閣府は議事要旨も議事録もほぼ同じで、両方ともに加計学園関係者の氏名や発言は一切載っていないとしており、検証する材料が隠滅された格好。
2015年6月5日のワーキンググループの議事要旨については民進党調査チームも内閣府の対応を追及しており、調査チームの桜井充座長は7日に内閣府担当者からヒアリングした際、10日のヒアリングに議事録を出すよう求めた。内閣担当者は「持ち帰り検討する」と答えていたが、議事要旨も議事録もほぼ同じということでは、真相解明が難しい。桜井氏は7日の会合で「加計ありき、加計を隠したがることばかりだ」と疑念が一層深くなったとしていた。(編集担当:森高龍二)