国交省はタクシーの配車アプリを使って、乗車前に運賃がわかるサービスの実験を行うと発表した。このサービスは乗車前に運賃を確定させることで利便性を高め、タクシーの普及を促進することが狙い。8月7日より東京23区を中心に、運賃が3000円以上の遠距離移動に限定して実験が開始される。
7月28日、国土交通省はタクシーの乗車前に運賃を確定するサービスの実験を行うことを発表した。これにより渋滞や遠回りなどによる運賃の高額化を防止し、タクシーをより利用しやすくすることで利用者を増やすことが狙いとなっている。
実験は8月7日~10月6日にかけて行われ、対象となる地域は東京23区、武蔵野市、三鷹市。実験に参加するのは日本交通グループ、国際自動車グループ、第一交通グループ、大和自動車グループなどの44事業社で、合計4648車両が投入される見込み。
このサービスは参加企業が提供する配車アプリを使用し、乗車地と降車地から事前に運賃を確定する仕組みで、走行距離や所要時間に加えて、迎車料金も踏まえて乗車前に確定運賃を算出する。利用者は事前に運賃を知ることができるだけでなく、同時にこのアプリから事前予約と配車依頼も行えるという。
今回の実験ではサービスを利用可能なのは運賃が3000円以上となる長距離移動のみであり、3000円未満の場合の適用は見送られた。これは3000円未満の近距離移動では信号待ちの時間によって運賃が変動しやすいため、正確な予測が困難となるのが理由とされている。
このサービスを利用することにより、乗車後に渋滞などで事前確定運賃以上の運賃がかかっても追加料金を支払う必要はないという。しかし道路状況によっては事前運賃よりも従来通りのメーター運賃の方が安くなってしまう場合もある。そのため配車アプリは事前確定運賃とメーター運賃の差が2%以内に収まるように設計され、また事前確定運賃は距離運賃の1.3倍以上は高くならないように設定されている。
実験結果の検証は実施期間中の利用者に対してアンケートを行い、事前確定運賃の金額が適正なものであったかを調査する。アンケートで高い評価が得られた場合には本格的な運用を検討するという。
国交省の担当者によるとこのサービスの導入によって、渋滞などにより運賃が上がってしまうことに対する利用者の不満を解消するとともに、タクシー会社やドライバーの負担軽減にもつながるという。タクシーは依頼された場合にだけ稼働すればよくなり、乗客を探してタクシーを「流す」必要がなくなることも期待されている。(編集担当:久保田雄城)