EVを巡るトヨタ、マツダ、デンソー、3社で開発会社「EV C.A. Spirit」共同設立

2017年09月30日 07:59

Toyota_EV C.A. Spirit

マツダとデンソー、トヨタが共同で設立するEV開発会社「EV C.A. Spirit 株式会社」のイメージ

 ここ数年、CO2など温室効果ガス削減に向けた各地域で規制の強化が進み、一定割合の電動車などZEV(Zero Emission Vehicle)の販売を義務化するといった新たな規制導入の動きが急だ。

 このような内燃機関のクルマから電気自動車(EV)への転換指向が2017年、国際的に一挙に強まった。環境対策強化を理由に、この夏、「2040年までに内燃機関を搭載したクルマを削除する」と発表した英仏に続いて、中国までもが、将来的な内燃機関車の生産販売停止に言及した。こうした状況を背景に、自動車メーカー各社だけでなくIT系企業や従来型家電メーカーまで巻き込んで、成長が見込めるEV市場に前のめりだが、クリアすべき課題は多い。

 こうしたなか、マツダとデンソー、およびトヨタは、電気自動車の基本構想に関する共同技術開発に向けた契約を締結したことを正式発表した。

 また、この共同技術開発を効率的に進めるために新会社を設立し、3社のエンジニアが一堂に会して活動を実施することを決定した。

 冒頭でも示したように、英仏政府は2040年とした内燃機関車の新車販売を禁止する方針だが、中国政府の達成年度は明らかではない。ただスケジュールが見えないとは言え、中国は年間新車販売2800万台と世界最大の市場だけに、仮に内燃機関禁止となれば影響は大きい。このような国あるいは地域毎の各種規制にも対応しながら、企業として持続的な成長を続けていくために、幅広いパワートレーンや技術開発が必須であり、プラグインハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)に加え、電気自動車(EV)も重要な開発領域だとする3社の思惑が一致した。

 しかし一方で、EVの普及・販売台数は、まだ多いとはいえず、さらに求められるクルマの有りようは地域やニーズにより多種多様で、自動車メーカーが単独ですべての市場・セグメントをカバーするには膨大な工数、費用、時間が必要になる。

 そのため、マツダ、デンソーおよびトヨタは、市場動向に柔軟かつ迅速に対応するため、幅広いセグメント、車種をカバーできるEVの基本構想に関する技術を共同で開発することに合意したというわけだ。

 軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまでの幅広いセグメントにおいて、マツダの「一括企画」や「モデルベース開発」、デンソーの「エレクトロニクス技術」、トヨタの「TNGA」など、それぞれの強みを持ち寄り、開発手法そのものを見直す。

 新会社の名称は、「EV C.A. Spirit 株式会社」とし、本社は名古屋市中村区のミッドランドスクエアに置く。スタート時の資本金は1000万円で、トヨタが90%、マツダ5%、デンソー5%を負担する。発足時の社員は約40名だ。

 今回の共同技術開発に対して、マツダとトヨタは開発資源を等しく負担するとし、効率的な開発、および既存生産設備の活用を図る。各社がリソーセスをクルマ本来の価値追求に注力し、EVを「コモディティ化」させることなく、それぞれのブランド独自の付加価値あるクルマを追及するとし、今後は他の自動車メーカーやサプライヤーも参画可能なオープンな体制を目指すという。(編集担当:吉田恒)