独・フォルクスワーゲン(VW)の車両電動化が本格化してきた。ドイツ・フランクフルトで9月12日から開幕する(一般公開は9月14日から)世界最大のモーターショー「フランクフルトモーターショー 2017」の直前に、3台の電動自動車(EV)のコンセプトモデルを公開した。
VW、2020年に発売する予定の“未来のゴルフ”の派生モデルである「I.D.CROZZ Ⅱ(アイ.ディ.クロス)」だ。「I.D. CROZZ Ⅱ」は、SUV と4 ドアクーペを融合したクロスオーバーモデルで、量産を意識して「I.D. CROZZ」を改良。ワイドなボンネット、クリーンな輪郭を描くフェンダー、光沢のあるブラック仕上げのルーフにより、パワフルで男性的な印象のエクステリアとなった。特徴的なデザインのLED ヘッドライトも、量産に向けた変更点のひとつで、VW製クロスオーバーらしい個性的なライトグラフィックとなった。
インテリアも見直され、更なる開発の手が加えられています。“オープンスペース”と呼ぶ室内は、広々とした空間を提供し、多様なシートアレンジ・コンセプトを採用。B ピラーが無い構造のため、大型のスイング&スライドドアを開くと大きな開口部が生まれる。ドアはボイスコマンドで開閉を指示することができる新しいボイスアシスタントが装備されている。
駆動方式は、VW独自の電動式4MOTION(4WDシステム)で、フロントアクスルおよびリヤアクスルには、それぞれ1個の駆動用モーターが搭載され、前後トルク配分は、“エレクトリック・プロペラシャフト”によって制御される。出力はシステムパワーで225kW、最高速度は180km/h に達し、1 回の充電で最大500km(新欧州ドライビングサイクル)を走行することが可能だ。急速充電システムを使用すると、この高性能バッテリーを30分で最大容量の8割まで充電可能だ。
最大の重量物であるバッテリーを車両の中央部に搭載し、ふたつの駆動システムをフロントとリヤに配置し、理想的な前後重量配分が実現。これによって、「I.D. CROZZ Ⅱ」は、「VWゴルフGTI」に匹敵する優れたハンドリング特性が得られているという。
新世代のVW「I.D.」ファミリーは、フォルクスワーゲンのEVモデルのラインアップを拡大させる。VWは、2020 年にゴルフクラスのセグメントに属するコンパクトなEVとして4ドア「I.D.」を発売し、SUV セグメントにモダンな「I.D. CROZZ」をデビューさせる予定。さらに、伝説的な名車となったVW「Bulli(ブリー)」(マイクロバス)をEV時代の思想で解釈し直した「I.D.BUZZ」も、2022年に市販する予定だ。(編集担当:吉田恒)