ロームグループが提供する最新デバイス(画像はセンサシールドキット)を使用したものづくりのアイデア&プロトタイプ作品コンペ「ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2017」。グランプリに選ばれたのは、個人のニッチなニーズを実現するIoTボタン
インターネットによって、あらゆるモノがつながる世界。IoT(Internet of Things、モノのインターネット)がもたらす社会は、ここ数年で劇的に加速している。
身近なところでは家電製品などからはじまり、社会インフラや産業の効率化など、その可能性はまだまだ未知数だ。
米シスコシステムズの調査によると、2021年にまでに270億個を超える「モノ」がネットにつながると推計している。また、米IDCの最新リポートでは、2017年度にIoT関連のハードウエア、ソフトウエア、サービスなどに支出される金額は、16年度比で16.7%増加となる8000億ドル強(約87兆6400億円)に達し、2021年には1兆4000億ドル(約153兆4400億円)規模にまで成長すると予測している。
しかし、大切なことは、ハードの数や目先の市場規模ではなく、「IoTが我々の社会に何をもたらすのか」というソフトウエアやサービスの充実ではないだろうか。そこが疎かになってしまうと、IoTの可能性を先細りさせてしまうことにもなりかねない。
そんな中、京都の半導体・電子部品メーカーのロームが、IoT社会の「これから」を期待させる、大変興味深いコンテストを開催している。それが「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」だ。
「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」は2016年から始まった、ものづくりのアイデア&プロトタイプを募集するコンテストで、参加者はローム製のセンサやマイコンボードを使用して、日常の生活や社会をより良くするようなプロダクトを考えるというもの。
昨年は初開催にもかかわらず、100を超えるアイデアが集まり、大きな話題を呼んだ。第二回目の開催となる「ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2017」では、一般・学生からの応募のみならず、スタートアップや大手企業の有志からの応募も数多く集まり、盛況だったようだ。
9月18日に開催された、同コンテストのクライマックスとなる最終審査イベントは、一次審査を通過したファイナリストの11チームが、制作したプロトタイプを使いながらプレゼンテーションを行った。各審査員の白熱した議論を経て、見事にグランプリを獲得したのは、チーム「つくるラボ」の「ダンナダッシュ~ボタンひとつで即日配達! 愛する人へ貴方の想いを届けます~」という作品だ。大変ユニークな作品で、ワンタッチで旦那様に愛のあるメッセージとともに「おつかい」を頼めるボタン。拡張性があり、旦那様だけでなく、設定次第で様々な人々にメッセージを送ることができる。高齢者の買い物や子供の見守りなどなど、個人のニッチなニーズを簡単に実現できる多様性が評価された。
元々のコンセプトは、ネタ的な要素が大きい作品だが、こういう小粋なアイデアこそ、これからの生活を便利で豊かにするものかもしれない。また、こういうユニークな作品をグランプリに選出できるアタマの柔らかさこそ、人が機械に勝ってる点であり、今後AIがさらに発達しても決して真似ができないものだ。それこそが、これからのサイバー社会に必要とされる要素なのではないだろうか。
「ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2017」の優秀作品5点は、10月3日から6日にかけて幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2017」の ロームブースでも紹介される予定だ。(編集担当:藤原伊織)