政府が掲げる「一億人総活躍社会」の一貫として、厚生労働省が推進するのが働き方改革である。この政策に対し、様々な取り組みが企業ごとに行われており、最も代表的な取り組みといえるのが長時間労働の是正ではないだろうか
政府が掲げる「一億人総活躍社会」の一貫として、厚生労働省が推進するのが働き方改革である。この政策に対し、様々な取り組みが企業ごとに行われており、最も代表的な取り組みといえるのが長時間労働の是正ではないだろうか。たとえば毎月最終金曜日を「プレミアムフライデー」と定め、早い時間帯での帰宅を促すことは働き方改革というものを最も端的に表したものといえるだろう。そんな働き方改革における効果としては、大きく分けて従業員に対する満足度としての心理的な効果と、それに伴う日本経済の成長率を押し上げることによる経済効果の2つが期待されている。では、この2つの効果については現状でどのような結果となったのだろうか。
まず1つめの従業員に対する満足度についてだが、これについてはコンサルティング会社の「働き方改革の実態調査」によると、従業員の満足度が得られた企業は28%にとどまるとされている。この調査では今年6月1日~7月7日に上場企業238社に対して実施されたものであり、それぞれの企業が実際に行った働き方改革の内容としてはやはり「長時間労働の是正」が最も多かったことがわかった。この他にも「業務の簡略化」や「事務所などの職場環境の整備」などが働き方改革で実施されていることがこの調査で確認できる。
ただし、これらの働き方改革を行ったうえでも実際に従業員の満足度としては28%であり半数以下であることから、従業員と経営者との間で「働き方」に対するイメージの違いがまだあるといえるかもしれない。
2つめの経済効果についてはどうか。これも「現状では」という条件つきではあるものの、実際にはそこまで大きな効果が出ているとはいえない。先述の「プレミアムフライデー」では、期待される経済効果としては1回につき1000億円という試算もあったが、実際にはそこまでの効果はなかったのが現状であり、そもそもプレミアムフライデーが月末で良いのかどうかという見直し論すらあがっている。その背景にあるのは、働き方改革が実行されたとしても、それがすぐに消費へとシフトすることはない、というそれぞれの考え方ではないだろうか。仕事を早く終えて帰宅したとしても、それが商品の購買意欲へとつながることはない、ということだろう。
もっとも、働き方改革というものはまだ政策が始まったばかりであり、今後はどうすれば従業員の満足度を高めることができるのか、ということをより具体的に考える経営者も増えてくる可能性もある。また、経済効果についても長期的な目線でみるべきとする意見もある。
働き方改革による効果については今後もさらに注視していく必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)