2020年に指導的地位(管理職レベル)に占める女性の割合30%を達成する。安倍政権が掲げる成長戦略の目玉のひとつが女性活用だ。政府が明記した20年に30%という目標を受け、経団連会員27社が女性役員・管理職の数値目標を公表した。1986年の男女雇用機会均等法施行以来、仕事と育児の両立支援制度の整備が年々充実するなかで、大手や外資系企業では女性社員の定着は徐々に進んできた。女性管理職比率では部長相当職4.9%、課長相当職7.9%と、国際的に見ても低い比率に留まるのが現状だが、現場での実感はどうか。
人財を確保し今後の経済成長を支えるために「女性活躍推進」は国を挙げての目標となっている。それらの実態を把握する一環として、人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン〈4849〉が運営する『エン転職』は、「女性活躍推進」についてのアンケートを行った。
本調査によると、59%の方が、勤務先での女性活躍を実感。活躍を感じる理由として「女性管理職や役員の存在」を挙げた。一方で、女性活躍を感じない理由としては、「女性管理職や役員がいない/少ない」、「男女で仕事内容が異なる」こと。また気になる点について、社内での古い習慣や価値観、ジェンダーに対する保守的な考えがいまだ根強い、といった女性の意見が多く、男性との意見に違いが見られた。
では、具体的な勤務先の「女性活躍推進の取り組み」についての意識はどうか。これについては44%の方が「行われていた」と回答。施策のトップ3は「産休・育休制度」「柔軟な働き方」「女性の管理職登用」で、「時短に加え、在宅制度が充実してきている。同じだけのシステム環境も整い会議も遠隔で参加しているため、ママさんがとても助かっている」(25歳女性)、「女性にも営業をさせるために書類のペーパーレス化を行なった。会社は女性事務員をこれ以上増やさない考えだと思う。新入社員も事務に配置される人はおらず、女性も営業社員として配置している」(26歳女性)などの意見もあった。
一方で、⻑時間労働前提、柔軟性のない働き方などが「女性活躍推進の取り組み」を阻害している、という見方もあった。その中には「ロールモデルがいないためイメージがわかない」といった意見もあり、明確な変革を要求する昨今の潮流への対応に困惑している面も感じられた。最後に、「管理職になることに興味はありますか?」と聞いたところ、男性は58%、女性は36%が「ある」と回答。女性については「どちらとも言えない」(26%)という回答が多く見られ、人生の充実としての仕事とワークライフバランスとの整合性においての揺らぎが感じられた。
出世か非正規かというのは極端だが、そういった究極的な選択を求められがちな社会では受動的な選択になってしまいがちなのかもしれない。どんな選択をしてもまぁ生きていける、そんな多様性を認めた寛容な社会の実現により、能動的にポジティブな選択をする人が増えていくことに期待したい。(編集担当:久保田雄城)