燃料電池車の正しい普及策、2018年市販を目指すFCバス、トヨタ「SORA」公開

2017年10月21日 08:09

Toyota_FC BUS

トヨタは、燃料電池バスのコンセプトモデル「SORA」(79人乗り)を 東京モーターショーで公開する。ほとんどこのままの恰好で都営バスとして2018年に走りはじめる

 先般、トヨタは“燃料電池車を諦めていない”旨の記事を配信したが、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、具体的な燃料電池車発売の施策を発表した。

 トヨタは、燃料電池バス(FCバス)のコンセプトモデル「SORA」を公表した。コンセプトモデルをベースにした市販バス(79人乗り)は、2018年から発売を予定しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のSORAが導入される予定である。

 従来の路線バスに見られる六面体の箱形とは大きく異なる立体的な造形を追求し、前後ランプにLED採用、ひと目でFCバスとわかる特徴的なデザインとしている。

 コンセプトモデルSORAは、「受け継がれていく街のアイコン」を開発コンセプトに、FCユニットの特性を最大限に生かし、ふたつの想いを込めて開発したという。

 まず、世のため人のために“働くクルマ”であるからこそ、環境に配慮するとともに、モビリティサービス以外でも社会に貢献できるバスを目指した。そして、燃料電池車「MIRAI」で開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用し、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能を実現。大容量外部給電システムを搭載しており、高出力かつ大容量の電源供給能力(最高出力9kW、供給電力量235kWh)を備え、災害時に電源としての利用が可能な大型バスとした。

 なお、トヨタの説明によれば、「不特定多数のお客様が利用するからこそ、“利便性”と“安全・安心”にこだわり、すべてのお客様に、“乗ってよかった。また乗りたい”と思われるバスを目指した」という。

 また、ベビーカーや車いすの乗客に配慮した機能も盛り込んだ。ベビーカーや車いすのスペースに、自動格納機構付き横向きシートを新設。ベビーカーや車いす利用者がいない場合は、一般利用者が座ることができ、居住性を向上させた装備を組み込んだ。

 車内外に8個の高精細カメラを配置し、バス周囲の歩行者や自転車などの動体を検知し、運転手へ音と画像で知らせる周辺監視機能を搭載し、安全性を向上させたことも大きな特徴だ。加えて、路面の誘導線をカメラが検知し、自動操舵と自動減速により、バス停とバスの隙間を約3cm~6cm、バス停車位置から前後約10cmの精度で停車させる自動正着制御を採用。車いすやベビーカーの乗降性を向上させたとも。

 モーター走行により変速ショックがないことに加え、急加速を抑制し緩やかな発進を可能とする加速制御機能を採用し、車内で立っている乗客の安全性に配慮している。

 路線バスという特性なら、水素を供給するステーションは都営バスなどの管理車庫や営業所内に設置すれば良いわけで、インフラ整備もかなり楽になりそうで、燃料電池車は路線バスやタクシーなどの公共交通システムから普及するのが、もっとも正しい進化なのかもしれない。

 なお、コンセプトモデルSORAは、東京ビッグサイト開催される「第45回東京モーターショー2017」へ出展する予定だ。(編集担当:吉田恒)