ホンダ、コンパクトで高効率の新型「スマート水素ステーション」、CEATECで

2017年10月08日 12:52

Honda_SHS_CEATEC

ホンダがCEATECで展示した新型スマート水素ステーション700MPaコンセプト

 ホンダは70MPaの圧力で充填できるスマート水素ステーション(SHS)を、「CEATEC JAPAN 2017」(千葉・幕張メッセ、2017年10月3日~6日)で公開した。充填圧力を従来のモデルに比べて2倍として、70MPaのタンクを搭載する。このシステムから直接、同社の燃料電池車(FCV)「クラリティ・フューエルセル」やトヨタのFCV「ミライ」に水素を満充填できる。

 ホンダが展示した新しいSHSは、同社独自のPawer Creator(高圧水電解システム)により、再生可能なエネルギーなどの電気を使って水を電気分解し、燃料電池車などに供給する水素を製造するコンパクトな装置だ。

 同製品の機能は、大きく分けて以下の3つとなる。それは水素の製造、貯蔵、そして充填だ。イオン分を取り除いた水道水を電気分解することにより、水素と酸素を発生させる。水素を高圧化してタンクに貯蔵し、車両への充填時にステーションから取り出す。タンクには15℃の状態の水素が15kg貯められる。ヒーターを搭載し、寒冷地で水道水が凍らないように配慮した設計としている。

 新型SHS開発でブレークスルーとなった技術は、70MPaまで高圧化する仕組みだった。改良したのは、水素製造の鍵となる厚さ0.1mmほどの固体高分子膜。この膜に水を加えて電気を流すと、片側から水素、もう片側から酸素が発生する。これがSHSの基本システムだが、新型は、70MPa以上の圧力に耐えられるように固体高分子膜の強度を高めた。

 新型SHSの1日の水素製造量は、製造効率を高めて先代モデルの1.5kgから2.5kgに高めた。製造する水素の純度は99.97%以上で、ISO14687-2に準拠する。また、システム全体をパッケージ化したことで、設置までの工期を大幅に短縮できることも特徴だ。

 製品寸法は全長2250×全幅3700×全高2570mmとコンパクトなパッケージなので設置面積も削減できる。新型は静音設計も自慢で、郊外の住宅地や別荘地などにも設置しやすい。法規上、第一種住宅地域でも設置できる装置となっている。価格は目論見では、先代モデルと同等の1億円?1.2億円に抑える。発売時期は未定。(編集担当:吉田恒)