トヨタは、企業としての目指すべき方向性を全社で共有し、広く社会に示すために、グローバル企業チャレンジ「Start Your Impossible」を開始すると発表した。
自動車業界がかつてないほどのスピードで変革期を迎えている現在、人々に寄り添い、皆がそれぞれの可能性にチャレンジできる社会づくりへのサポートを通じて、顧客の生活や社会全体の向上や改善に貢献したい、というトヨタの決意を表した企業活動である。
具体的には、「移動」がチャレンジするための障害ではなく、“夢を叶えるための可能性”になってほしいとのトヨタの考え方が根底にある。そこから、これまでの狭義の意味におけるモビリティ(自動車)だけではなく、モビリティ・ソリューションの提供を積極的にトヨタは考えていくとする活動だ。
「Start Your Impossible」には「すべての人に移動の自由を」というトヨタのモビリティ企業としての新たなチャレンジに向けた方向性を示す活動だ。また、この考え方を、顧客を含むトヨタのすべてのステークホルダーと共有し、同じ志を持ちながら、共に取組み、考えていきたいとの想いが込められている。
トヨタは創業以来、モノづくりを通じて社会に貢献するという企業理念を掲げてきた。長い歴史の中で、数多くの“不可能”に取り組み、世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」や、量産燃料電池車「ミライ」を世に送りだしてきた。これらを生み出した「カイゼン」や「人間性の尊重」という企業風土が、不可能を可能としたことに繋がっている。
トヨタは、2015年に「スポーツを通じた平和で差別のない社会づくり」「モビリティを通じた持続可能な社会への貢献」を目指し、オリンピック・パラリンピックの「ワールドワイドパートナー」となった。
トヨタは、オリンピック、パラリンピックの初のモビリティパートナーとして、都市交通問題のソリューションやモビリティや物流サービスの提供を目指している。「すべての人にモビリティを」と題した動画では、次世代モビリティや先進技術が紹介されている。「Start Your Impossible」では従業員向け、ディーラー向け、消費者向けの様々な施策を実施予定である。さらには、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に設立された、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金の活動との連携を模索する。
「Start Your Impossible」の発表に際し、オリンピック誕生の地、アテネにおいて、現地時間10月16日に初のモビリティサミットを開催した。同社社長の豊田章男氏が衛星中継で出演したのに加え「よりよいモビリティ社会の実現」というテーマのもと、ディディエ・ルロワ副社長やアスリート、IOC、IPC関係者、各国インフルエンサーによるテーマごとのパネルディスカッションも行なわれた。
社長の豊田章男氏は衛星中継で、「トヨタの歴史は、人間のもつ知恵と情熱で、ImpossibleをPossibleにしてきた、まさに挑戦の歴史。いま自動車産業は100年に一度の大変革の時代を迎えている。私たちトヨタには、もっといいクルマをつくりたい、『愛』のつくモビリティをつくり続けたい、未来のモビリティ社会を今よりもっとよくしたいという志がある。その実現のためには、私たち自身が『クルマとはこういうものだ』という常識を覆し、新しいモビリティを創造していかなければならない。そして何よりも自分たちが決めている限界を超えていかなければならない。それは、スポーツの世界で、アスリートが自らの限界、人間の限界に挑戦し、超えていく姿に重なる。オリンピック・パラリンピックが、トヨタに関わるすべての人たちにとって、自分自身が決めている限界を超えていくきっかけとなることを期待している」と語った。
10月28日から一般公開となる東京モーターショーでトヨタが展開展示するコンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」シリーズは、恐らく「Start Your Impossible」の考えに基づいたものと思われる。(編集担当:吉田恒)