立憲民主党は中道リベラル軸に政権政党へ進め

2017年10月28日 07:27

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議席数は大政党が有利に働く「小選挙区比例代表制」のなせる結果であることを忘れてはならない。小選挙区では1票でも多い者「1人のみ」が生き残り、残りは「死に票」になってしまう

 安倍政権5年を裁定する総選挙は与党が3分の2以上の議席を確保した。自公政権が国民の絶大な信認を得た結果と言えるのかといえば、獲得議席数と国民の思いには大きな乖離がある。議席数は大政党が有利に働く「小選挙区比例代表制」のなせる結果であることを忘れてはならない。小選挙区では1票でも多い者「1人のみ」が生き残り、残りは「死に票」になってしまう。

 このことは、自民党の石破茂元国務大臣も27日のブログに「結果だけ見れば与党の圧勝に見えるが、全有権者を分母とする自民党の小選挙区での『絶対得票率』は約25%、有効投票数を分母とする『得票率』は47.8%」と現実の数字をあげた。

 この数字で国会議席をいくつ確保したかというと「自民党の『議席占有率』は74.8%」にもなった。

 石破氏は「小選挙区制度を推進してきた者としては忸怩たる思い」とし、議席数と国民からの信任比率に大きなギャップのあることを「忘れてはならない。民意との乖離を起こすことのないよう、更に努めていく必要がある」と真摯に与党としての自覚を持ち、政権運営をする必要への思いを書き込みだ。

 より民意を忠実に反映する選挙制度のあり様もゼロベースで再検討する必要がある。是非、選挙制度調査会を再度立ち上げ、有権者の「死に票」が極力最小限に収まる制度に改めて頂きたい。

 一方、国民が期待した「自公政権」対「民進・共産・自由・社民と市民連合」という構図をぶち壊した民進党の前原誠司代表の「愚策」。

 そもそも、小池百合子代表の思想は小池知事が政務補佐特別秘書に就けた野田数氏の思想からもうかがい知れるはずで、民進党リベラル派には全く合わない思想だ。野田氏は5年前の都議会議員時代に、都議会に「日本国憲法は占領憲法で、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄すべき。日本国憲法は無効であり、大日本帝国憲法が現存する」とする驚くべき請願を紹介した議員の1人。

 立憲主義、民主主義を柱にする民進党の議員、特にリベラル派議員が、こうした考えを有する野田氏を政務補佐に就けるような小池知事、つまり希望の党代表の下に、合流できるはずがない。

 残念ながら、自公対民進・共産・自由・社民と市民連合という構図はできなかったが、結果的には民進党が右傾の『希望』・『無所属』・『立憲民主党』に明確に分かれたことで、目指す政策・特に憲法9条や自民党がこれと合わせ追加したがっている「緊急事態条項」など憲法改正問題においての立ち位置が交通整理されたことは大変に良かった。

 前原代表は自公政権の保守党に代わる、第2の保守党での2大政党制を目指したようだが、国民は右傾化し続ける自公政権を軌道修正できる中道リベラル系政党による2大政党制を期待している。

 小池百合子代表が総選挙の結果次第で自民党との連立に可能性をうかがわせるような姿勢を見せたことや民進党出身者の受け入れにリベラル派排除姿勢をみせたこと、党運営や都民ファースト設立後の役員決定など代表決定に役員3人の合意で決めるような規約を設けていたなど、運営に透明性が担保されているとは思えないことが、求心力や信頼性を大きく低下させている。

 小池代表は今回の選挙結果を踏まえて、希望の党の代表は共同代表制とし、国会議員の代表は国会議員で決めることにした。ただ、憲法改正では自民補完勢力と見て取れる。

 筆者は自公を支持していない有権者は次期総選挙、参議院選挙までに、立憲民主党を軸とした中道リベラル勢力の誕生への基盤づくりを期待していると感じている。そのことを踏まえ、立憲民主党は自公政権に代わる政権選択肢となる政党へ進め、といいたい。地方の基盤整備を今から整えていくことを期待する。(編集担当:森高龍二)