政府は2020年より、変化の激しいこれからの社会で活躍できる人材育成を目指した、戦後最大規模の「教育改革」を行う予定だ。第4次産業の台頭など産業構造の変化やグローバル化の進展、生産年齢人口の減少などを見据えた「教育改革」では、「何を学ぶか」だけでなく、「何ができるようになるのか」を明確にし、「主体的・対話的で深い学び」 (アクティブ・ラーニング)を取り入れた授業が実施されるなど「主体性・多様性・協働性」の養成によって知識を活用する力の習得を目指している。
「教育改革」に伴い、英語教育における学習開始年齢の前倒しや、個別大学入試における 「民間資格・検定試験」活用など、こちらも実用を前提とした使える英語力を目指した「英語改革」も行われる。さらに、センター試験が「大学入学共通テスト」に変わるなど「大学入試改革」も予定されており、かなり大規模な施策といえる。
これら一連の「教育改革」について、子どもを持つ親世代はどのような意見や関心をもっているのだろうか?e-ラーニングに関するサービスの様々なコンテンツを提供するイー・ラーニング研究所は、20代~50代の子どものいる親を対象に「2020年の教育改革に関するアンケート」を実施した。
まず、「2020年に教育改革が実施されることを知っていますか?」という問では、「はい」(90%)、「いいえ」(10%)という結果になり、子どもを持つ親世代の90%が「教育改革」に対して高い関心を持つことがわかった。また、「教育改革」の具体的な内容については、「センター試験が廃止され、新たな試験が導入される」(217)、「小学校でプログラミングが必修化される」(195)、「小学3年生で英語が必修化される」(139)などが続き、関心のある世帯では内容の吟味もされている様だ。 「教育改革」実施の背景や賛否などについても質問を行ったが、いずれもポジティブな回答が多く、非常に関心が高く、賛成の意見が97%にのぼった。
「2020年に教育改革に向けて、今後取り組むとしたら具体的に学校以外で何に取り組みたいですか」という問では、第1位が「プログラミング」(167)、第2位が「英語・英会話スクール」(164)という回答が多く集まりました。「プログラミング」は2020年から小学校での必修化が決まっており、注目されていると考えられる。様々な方面でIT化がすすむなか、IT業界の人材不足が叫ばれており、今後も拡大傾向にある。IT技術を活用した、課題解決型の人材を一人でも多く育成したいという政府の強い希望が感じられる。スマホの普及などにより、SNSなどを通し未成年が事件に巻き込まれるケースが後を絶たないなか、早期段階での情報リテラシー教育と言った意味でもその効果が期待されている。
一方、若者目線で言えば、社会的需要の高い技能や技術を早期かつ一律に教育される事は大きなメリットであると同時に、一律であるがゆえにプレッシャーを感じたり、他人との競争意識が高くなることで不安感が増す恐れもある。生産性の向上に対する「教育改革」の寄与は多大なものになると予想されるが、推進する教育方針から逸脱した者や馴染めない者へのセーフティネットの拡充なども併せて行っていく必要がありそうだ。 (編集担当:久保田雄城)