野田佳彦前総理は24日、安倍政権の政策は「国力増強に結びつく力しか見ようとせず、経済政策も雇用も教育も、人間に目が向いていない」と最も重要な視点が欠けていることを指摘した。
野田前総理はブログで、文部科学大臣が国立大学法人に人文社会科学や教員養成の学部・大学院の縮小、統廃合を求める通知を出したことに触れ、「文系は不要で実学の理系を重視するという方向づけは、あまりにも短絡的ではないか」と問題提起。
「国立大学は各種学校とは違う。即戦力の人材養成も必要だが、長い時間を経て役に立つ人文社会の知見も軽視してはならない。実学と教養を二者択一で迫るのではなく、そのバランスをとる教育改革が必要」と警鐘を鳴らした。
また「国立大学改革は政府の産業競争力会議における議論が出発点になっていて、社会的要請の高い分野への転換とは、産業界の要請を踏まえ稼ぐ力に直結した理系分野に教育資源を集中させること。しかし、特定の社会の要請かもしれませんが、果たして広範な国民の要請でしょうか」とここでも、人文社会科学系の統廃合を迫る政策そのものに疑問を投げた。
そして、野田前総理は「国立大学改革も安倍政権カラーが色濃く出ている。即ち、人間に目が向いていません」と政策の向こうにいる人への視点がないと酷評した。
野田前総理「安倍政権は成長力を見ているが、国民生活を見ていない。労働力を見ているが、働く人を見ていない。すぐに役立つ学力は見ているが、学生を見ていない」とした。(編集担当:森高龍二)