東電自由化部門料金値上げ 容易に容認できない

2012年02月13日 11:00

 東京、千葉、埼玉、神奈川の知事と関係5市長で構成する9都県市首脳会議は野田佳彦総理や枝野幸男経済産業大臣、西澤俊夫東京電力取締役社長、杉山武彦原子力損害賠償支援機構理事長に対し、東電の産業・業務向け(自由化部門)の電気料金の値上げに関して中小企業への特段の配慮を求めるとともに、東電と原子力損害賠償支援機構で策定する総合特別事業計画に対し「電気事業制度の改革とともに、経営責任の明確化、設備投資の方向性など東電の『経営のあり方』に関する中長期的視点からの抜本的な改革の確実な実行」を求める要望を11日までに行った。

 9都県市首脳会議は自由化部門の電気料金の値上げに対して「値上げ根拠の燃料費等の負担増分6800億円の詳細や賠償スキームと合わせた経営合理化の具体的な内容が示されておらず中長期的な見通しも不透明」とし「今回の値上げは容易に容認できるものでない」と抗議している。

 そのうえで総合特別事業計画策定の前提となる当面の収支見込、今後の電力需給の状況、電源構成、燃料費等負担増の内容、震災前と現在における役員及び社員の給与・賞与等の実態、経営合理化の具体的内容及びこれらの中長期的な方向性などについての明確な情報の開示と連結子会社等を含む経営合理化の確実な推進を求めた。

 また健全な競争原理が働くよう、民間資金の活用による老朽火力の早期更新や託送料やインバランス料金の見直し、系統への接続にかかる情報の透明化と送電部門の中立性強化など電気事業への民間事業者の参入促進を求めている。

 このほか、これまでの東電の経営責任を明確化させるため、現在までの役員等についてはその責任の所在を徹底的に明らかにすることも求めている。これにどこまで政府や原子力損害賠償支援機構が指導力を発揮するか、ひとつひとつの求めに対する対応に関心が寄せられている。(編集担当:福角忠夫)