ボージョレ・ヌーボーといえば、フランス産ワインの中でも愛好家の人気が高い一品であるとともに、毎年解禁を待ちわびるファンが多いことでも知られている。ワインの原料といえばブドウだが、ブドウの状態というものは気候など様々な要因で左右されやすく、ワインの品質というものもその年ごとに異なるのが特徴である。ボージョレ・ヌーボーについても例外ではなく、ブドウの状態でその味わいというのが異なるのだという。そんなボージョレ・ヌーボーだが、フランスからの輸入量については毎年減少する傾向にある。
ボージョレ・ヌーボーの輸入量については、フランス食品振興会の調べによると2004年をピークに減り続けており、2016年度の輸入量は2004年度のおよそ半分まで減っているという。この12年間にある程度の増減はあったものの減少傾向が続いており、2017年度についても前年度とほぼ同じ水準で推移するのではないかとの見通しだ。ワインの中でも特に高い人気を誇るボージョレ・ヌーボーだが、なぜ輸入量が減少しているのだろうか。
その要因のひとつといえるのが、「ワインブーム」である。ボージョレ・ヌーボーの輸入量が減少している反面、ワインそのものの販売量については2015年まで4年連続で高い水準を維持しており、それだけ多くの人がワインを愛飲しているということがわかる。つまり、ワインというものが日常生活に行き渡っていることで、ボージョレ・ヌーボーのもつ特別感というものが薄れているのではないか、という見方だ。また、ボージョレ・ヌーボーとはフランスのボージョレ地区で作られる「新酒」という意味だが、新酒は何もボージョレ・ヌーボーに限ったことではない。フランスのほかにもワインを作っている新興国から入ってくる種類も増えたことで、ボージョレ・ヌーボーの割高感が増したと考えることもできるだろう。
ブームになりワインが日常化したことが皮肉にもボージョレ・ヌーボーを日本から遠ざけているという現実だが、その背景にあるものといえばもうひとつは人々のライフスタイルが変わってきたという点も見過ごせないのではないだろうか。かつてバブル期にはボージョレ・ヌーボーの解禁を祝うイベントも各地で行われたという逸話があるが、現在ではそんなことでイベントが行われることはほとんどない。ワインそのものは安定した人気があるが、ボージョレ・ヌーボーだけが特別なワインではない、という認識が広がったと考えるべきだろう。(編集担当:久保田雄城)