アサヒビール、北海道余市にワイン製造に向けた4haのぶどう農園を開設

2017年06月09日 07:20

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北海道余市郡余市町梅川町のアサヒビールのワイン向けぶどう農園として取得した土地の航空写真。2023年にワインが初出荷となる。醸造所などについては未発表

 近年、日本産ぶどう100%でつくる日本ワインは、ぶどう生育技術やワイン製造技術の向上から国内外で高く評価されるようになった。2016年は国内製造ワインの約2割を占め、国税庁の発表によると約215万箱(前年比133%)と伸長した。国内のワイナリー数も増加しており、現在約280ものワイナリーから個性のある日本ワインが販売されている。

 アサヒビールは、2017年2月に設立したグループ会社である農業生産法人「サントネージュ・ニッカ余市ヴィンヤード株式会社」を通じて、2017年3月に北海道余市郡余市町梅川町に4haの農地を取得した。順次ぶどう栽培用畑に整地し、日本ワイン用の高品質なぶどうを栽培し、2023年にファーストヴィンテージ発売を目指す。北海道積丹半島の付け根にある余市町はアサヒビールのウイスキー製造会社「ニッカウヰスキー」の蒸溜所があることでも有名な街だ。かねてより、ぶどうやリンゴの果実生産農家が多い土地である。

 余市町は北海道内でも比較的温暖でぶどう栽培に適した気候で、“ワイン特区”としてワイン醸造への新規参入者に支援が行なわれており、近年日本ワイン産地として注目を集めている地域だ。

 新たに余市町に取得した農地は、すでに2017年5月から整地作業を始めており、7~8月にかけて垣根を組み上げる予定だ。アサヒグループの「サントネージュワイン」におけるぶどう栽培の知見を活かし、果実味豊かな良質なぶどうをつくるために、欧州などで用いられている本格的なぶどう栽培法である垣根栽培を取り入れ、北海道の風土に適した「ピノ・ノワール」をはじめ、「ピノ・グリ」「ケルナー」「シャルドネ」など本格的なヨーロッパ品種約7000本を植樹する予定だ。

 ファーストヴィンテージ「2023年の発売」予定数量は、約2000箱の製造と見込んでいるという。

 ぶどうの栽培にあたっては、日本ワインファンに向けて、ぶどう苗木の植樹や剪定作業などが体験できる「サントネージュ・ニッカ余市ヴィンヤードサポーター制度」を展開する予定。サポーターの募集は2017年末から実施予定。詳細は別途発表するとした。

 さらに、今後も積極的に農地の取得を進める予定で、余市町を含め合計10ha以上の自社畑確保を目指す。2025年には、アサヒビール全体の日本ワイン販売数量を、現在の約7000箱から2万箱規模に拡大していく予定だとした。

 アサヒグループは、現在、山梨県にワイン製造子会社「サントネージュワイン株式会社」を所有し、山梨県にある1haの自社畑と、山形県の契約農家などが栽培するぶどうを使用し、日本ワインブランド「サントネージュ」を販売している。2016年の販売量は約7000箱、前年比120%と好調に推移している。

 アサヒグループは、余市町での取り組みなどを通じて、今後さらなる拡大が見込まれる日本ワイン市場に向けて、日本ワインの商品ポートフォリオを強化し、日本ワイン文化をリードする世界に誇れる高品質な日本ワインづくりを目指す。(編集担当:吉田恒)