子供のいる共働き世帯は年々増加している。総務省の労働力調査をみると、夫が非農林業の被雇用者で妻が就業者である世帯は、2010年下半期に1085万世帯であったものが直近の17年10月では1201世帯に増加している。このうち子供のいる世帯は2010年下半期に616万世帯であった者が17年10月では726万世帯となっており、子育て中の世帯においても共働き世帯は増加している。
一方、女性の就業者数は全体として増加傾向であるにもかかわらず出産適齢期の25~35歳の就業者数は10年10月が530万人だったものが502万人と減少傾向にある。厚労省の報告書では17年4月1日現在、待機児童数は2万6081人で増加傾向にある。こうした子育て環境の悪さが特定の世代の女性にとって就業の妨げになっていると考えて間違いないだろう。
では「子育てしやすい環境」とはどのようなものであるのか。そのモデルケースにはどのようなものが存在するのか。
日本経済新聞社は独自の指標を用い全国162自治体を対象に「共働き子育てしやすい街ランキング」を公表している。この「全国編」において千葉県の松戸市が1位にランキングされた。
ランキングの評価ポイントは、「認可保育園に入りたい人が入れているか」、「認可保育園の保育料」、「学童保育が充実しているか」など施設運営や補助制度の実績のほか、「認可外保育園の今後の新設計画」、「保育の質担保への取り組み」、「幼稚園の活用」など今後の取り組みについても評価ポイントとされている。
松戸市は千葉県の北西部に位置し、江戸川をはさんで東京都の葛飾区と隣接し、都心まで電車で30分ほどの位置にある。このため都心で働く共働き世帯が多い自治体である。
松戸市ではこれまで「保育の受け皿の拡大」施策を重点的に押し進め、16年、17年と2年連続で待機児童ゼロを達成している。さらに、量的拡大のみならず市内の全23駅の駅前・駅内に小規模保育施設を確保するなど利便性を重視した取り組みも行っている。
この他、保育士を確保するために家賃補助や独自の手当制度を設けるなど措置を図り、また、市内全45小学校区に夜7時まで利用可能な放課後児童クラブを整備、病気や回復期の幼児・児童を預かる「病児・病後児保育」を2カ所、「病後児保育」を1カ所配置するなど特徴的な子育て支援政策を行っている。
こうした点が高い評価ポイントなり今回、松戸市がランキング1位として選ばれた。このような子育て支援策のアイデア競争が自治体間で活発化すればモデルケースが増え、子育てしやすい街が全国に広まって行くのではないかと期待される。(編集担当:久保田雄城)