企業収益・設備投資、来年度も増加傾向の見通し、財務省

2017年12月20日 06:59

画・企業収益・設備投資、来年度も増加傾向の見通し

財務省は法人企業景気予測調査(10~12月期)を公表。現況判断は中小非製造業を除き概ね堅調。来年度の企業収益・設備投資の見通しは、大企業、中堅、中小の全規模で増加と現状維持が減少を上回る。

 12月11日、財務省は法人企業景気予測調査(10~12月期)を公表した。この調査は四半期ベースで行われているものであり、今回の調査は11月15日時点で実施され、1万5848社の法人企業をサンプルにして、1万2948社からの回答を得た。

 調査結果によれば、法人企業の見込みは、全体として売上高、経常利益、設備投資、雇用の面で減速の兆しが見られるものの、現況では堅調に推移しており、来年度の見通しも増加傾向で推移すると回答している企業が多数となっている。

 詳細について見ていくと、「貴社の景況」に関する判断(「上昇」-「下降」社構成比)は、中小企業の非製造業を除きプラスの値となっており、全体として「上昇」と判断されている。内訳をみると、大企業の製造業が9.7%、同非製造業が4.5%で、中堅企業の製造業が13.1%、同非製造業が3.0%、中小企業では製造業が2.0%、非製造業がマイナス3.2%となっている。

 人手不足感を表す「従業員数判断(「不足気味」-「過剰気味」社数構成比)」では、すべての規模・業種において値がプラスで人手不足感が見られ、特に中堅、中小企業で高い値となっている。内訳をみると大企業の製造業が15.2%、同非製造業21.7%、中堅の製造業30.4%、同非製造業33.2%、中小の製造業29.1%、非製造業29.6%、となっている。これらの値は全規模・全業種で前期調査の際の見通しを大きく上回っており、全体において人手不足感が強くなっている傾向をうかがわせる。

 「来年度の企業収益・設備投資の見通し」については、「売上高」、「経常利益」、「設備投資」ともに「増加」と「今年度並み」が半数以上を占め、来年度も堅調であると見込んでいる企業が多数である。内訳をみると「増加」と答えた企業は「売上」では大企業33.5%、中堅35.6%、中小22.1%、「経常利益」では大企業27.5%、中堅29.3%、中小17.9%、「設備投資」では大企業21.4%、中堅20.6%、中小9.9%となっており、「今年度並み」と答えた企業は「売上」では大企業39.6%、中堅40.9%、中小41.3%、「経常利益」では大企業40.5%、中堅42.0%、中小41.4%、「設備投資」では大企業42.7%、中堅43.9%、中小41.7%となっている。

 現在、日本経済は外需主導の緩やかな回復局面にあるなか、景況は頂に近づき減速の兆しが見られるものの、企業マインドは来年度に向けて楽観的な見通しをしており、収益の順調な見通しを背景に設備投資も活発な状況が続き、その中で人手不足感がより高まってきている現況といえよう。(編集担当:久保田雄城)