小中学校の教員不足が深刻化

2017年12月09日 06:23

画・小中学校の教員不足か_深刻化

小中学校では教員不足が深刻な問題となっている。その背景にあるのは、激務であることに加えて待遇が低いという点である。問題の解決には時間がかかるが、現場からは即効性のある対策が求められている。

 様々な問題を抱えている学校許育の現場の中でも特に深刻な問題といえるのが、小中学校の教員不足である。毎日新聞が全国各地の67教育委員会を対象とした調査を行った結果、2017年度当初には教員が357名不足という現状が明らかになった。こうした教員不足の背景にあるのは、やはり少子高齢化である。少子化で子供が少なくなれば相対的に学校での教員が過剰となることから、教員採用についても正規採用を控えていた。そのため、小中学校の教員については非正規採用が中心となっていたが、その非正規採用すらも応募が少ないことから現在の教員不足につながっている。

 どんな仕事であっても楽な仕事というものはないが、その中でもとりわけ教員というものは激務といわれている。学校でただ授業を教えていればそれで良いというわけではなく、授業のための準備や計画、事務作業など教員がこなすべき業務というのは非常に多岐にわたっている。これに部活の顧問まで対応していれば、ほとんど休みなしという状態だ。このような業務実態に対して、正規採用ではなく非正規採用という待遇あのであれば、やはり応募が少なくなるのも当然といえるかもしれない。また、これがどの企業も求人が少ないという状況であればまだ違ったかもしれないが、今は景気回復の影響からか就職活動についても売り手市場と呼ばれる状態が続いていることから、敢えて激務の教員という職業を選択しない、というケースも増えているという。

 教員不足の影響は、直接学校に通う児童たちに及んでくる。学校の中には担任すら決まらないというケースもあるほどであり、このような状況では当然ながら授業もまともにできなくなる。教員の募集をかけても応募が少ないため、すぐに現状を打開することは難しく、どの学校も数少ない教員志望者を取り合う「争奪戦」の様相を呈している。幼稚園の教員免許を持っている人が小学校の教壇に立つ「助教諭免許」という特例制度を利用しているという学校もあり、教員不足というのは非常に深刻な問題であることがわかる。

 このような状況でありながら、教員不足をすぐに解消できるような即効性のある対策は無い。政府や自治体は、待遇改善だけなく教員という仕事に対しての魅力を発信できる仕組みを作り希望者を増やしたいところである。ただし、こうした方策については中長期的な視野で考える必要があることから、今すぐにでも問題を解決したい教育の現場からは不満の声もあがっている。対策が難しい問題ではあるが、国や自治体、教育委員会が一体となった抜本的な対策の立案・実行に期待したい。(編集担当:久保田雄城)