日本最大級の小売業グループであるイオンは、コンビニなど様々な業態で事業を展開していることで知られている。しかし、そんなイオンのスーパー事業の利益が減少しているという苦境に立たされている。イオングループ全体の総売上のうち、およそ4分の3以上はスーパー事業で稼いでいるのだが、この事業で得た営業利益は決して多くはない。むしろ低下の一途をたどっており、今後も同様に低下傾向にあるとされている。その背景にあるのはインターネットの存在である。
実は苦境に立たされているのはイオンだけに限ったことではなく、小売業と呼ばれるところは総じてインターネットの影響を受けている。現在インターネットショッピングは大きな成長産業とされており、日本ではAmazonや楽天市場、ヤフーショッピングなど様々な通販サイトが存在する。そして、これらのサイトの利便性が向上すればするほどイオンをはじめとする小売業へ悪影響を及ぼしている。特にAmazonは、生鮮食品を取り扱うAmazonフレッシュというサービスをスタートしており、小売業者からはさらなる悪影響が懸念されている。
イオンの「おうちでイオン」など小売業もインターネット事業については積極的な展開を見せているように、現在の業態だけでは経営が難しいことは認識している。しかし、それでもなおインターネット事業においてはAmazonや楽天市場などの通販サイトに一日の長がある。イオンをはじめとする小売業は、インターネット事業はあくまでもサブ的な要素が強く、事業そのものは実店舗での販売がメインとなっている。しかし、こうした業態そのものは現在の世相におけるニーズとのマッチングという意味においてやや乖離しつつある。何か欲しいものがあった場合、ほとんどの人はまずインターネットで買える方法を探し、家から外に出ることなく商品を購入するようになっているからだ。
これと同じことが生鮮食品というカテゴリーでも起こりつつある。今や生鮮食品はスーパーなどの小売店で購入するのではなくネットで買う時代になりつつあり、こうした流れが本格化すれば、さらに小売業というものは衰退していくことになる。将来を正確に予見することは誰にもできないが、インターネットショッピングは今後も成長していくことは容易に想像できる。従って、今後は小売業も従来とは異なる新たな視点での戦略が要求されることになるだろう。(編集担当:久保田雄城)