内閣府は10日、9月の景気ウォッチャー調査を発表した。現状判断指数は51.3と前月より1.6ポイント上昇。好不調の分かれ目となる50を9カ月ぶりに上回った。秋物商材の出だしが良好。訪日外国人の消費や株などの影響などで高額消費も堅調である。
内閣府は10日、9月の景気ウォッチャー調査を公表した。本調査結果によれば、現状判断指数DIは51.3と前月より1.6ポイント上昇した。これは好不調の分かれ目となる50ポイントを9カ月ぶりに上回ることとなる。設備投資に牽引され緩やかな回復を続けている日本経済だが、ようやく消費にも明るさが見えてきたようだ。基調判断は前月までの「持ち直しが続いている」から「着実に持ち直している」とし4カ月ぶりに上方修正した。既に秋物商材の出だしが良好。訪日外国人の消費や高額消費も堅調に推移している。
現況判断DIの内訳を見ると家計動向関連全体で50.1ポイント(前月差2.3)。項目別に見ると小売り関連が50.7(同3.8)、飲食関連が50.2(同1.1)と50ポイントを上回り、サービス関連が49.2(同0.2)、住宅関連が49.6(同0.7)と50を下回るものの、全ての項目で改善が見られ、特に小売り関連で大きな改善がみられる。企業動向関連の全体では52.3(同0.3)であり、内訳は製造業が52.6(同-0.2)、非製造業が52.3(同0.9)となった。
2~3か月先の景気の先行きに対する判断DIは、総合で51.0となった。家計動向関連の総合では50.2(前月差-0.3)、小売り関連が50.1(同0.0)、飲食関連が50.7(同0.2)、サービス関連が20.2(同-1.7)、住宅関連が50.8(同3.4)となっており、企業動向関連の総合では52.3(同0.5)、製造業が53.1(同-0.6)、非製造業が51.8(同1.5)となっていて、消費に当たる家計動向を含めた全ての項目で50ポイントを上回り先行き好調と判断されている。内閣府では今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方については、「着実に持ち直している。先行きについては、人手不足や海外情勢に対する懸念もある一方、引き続き受注、設備投資等への期待がみられる」とまとめられている。
政府は好調の動きを設備投資への期待にウエイトを置いているが、今回の調査結果の特徴は消費の動きを示す小売関係で、天候の関係から「季節商材の動きが活発」であること、株価の上昇傾向やアジアからの訪日客の増加の動向などから高額消費に大きな伸びを見てとれるところであろう。雇用関連も現況が57、先行きが53と高い好調動向を示しているが、既に人手不足感も出てきており、これが今後の消費の勢いを削ぐ懸念も持たれている。家計消費関連に好調の数字が現れた要因としては自動車その他の耐久財の買い換えの時期と重なっているという要素も大きい。いずれにしろ、これまで弱含みであった消費の回復を期待させる結果であることは間違いない。(編集担当:久保田雄城)