トヨタ、電池に1.5兆円投資。2025年「エンジンだけ車両ゼロ」計画

2017年12月23日 11:54

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1時間にわたる会見で、2025年に「エンジンだけ車両ゼロ」計画を発表したトヨタ副社長の寺師茂樹氏

 トヨタは、「地球温暖化」「大気汚染」「資源・エネルギー問題」という地球環境問題に真剣に取り組んでいるとして先般、2020年代~2030年までの電動車普及に向けた具体的な数字を示す計画を公表した。会見は副社長の寺師茂樹氏が行なった。

 そのなかで、「地球温暖化」などの冒頭の社会課題の解決のためには、燃料の効率的利用と代替燃料の利用促進に有効なクルマの電動化が不可欠であると考えているとも述べている。

 トヨタは、2015年10月に発表した持続可能な社会の実現に貢献するための「トヨタ環境チャレンジ2050」で、2050年にグローバルでの新車平均走行時のCO2排出量を、2010年比で90%削減する「新車CO2ゼロチャレンジ」を設定していた。

 その施策の一環として、このほど、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車の開発・展開を軸とし、今回以下の方針を指し示した。今回の電動車普及に向けたチャレンジは、トヨタグループの中長期施策のひとつだ。発表では電動車計画達成のために重要な電池開発を含めた電動車に1.5兆円の投資を行なう。

 まず、2025年頃までに、HV・PHV・EV・FCVといった電動専用車およびHV・PHV・EVなどの電動グレード設定車の拡大。グローバルで販売する全車種において電動専用車もしくは電動グレード車を設定し、エンジン車のみの車種はゼロとなるとした。

 また、2030年に、グローバル販売台数における電動車を550万台以上、ゼロエミッション車(ZEV)であるEVとFCVは、合計100万台以上/年を目指す。

 EVは、2020年以降、導入を加速させて、2020年代前半には、グローバルで10車種以上に拡大する。FCVは、2020年代に乗用車・商用車の商品ラインアップを拡充する計画だ。

 トヨタは、1997年にはEVの先駆けとなるHV「プリウス」を発売し、2012年に投入した「プリウスPHV」は、2017年にEVモード走行距離を大幅に拡大した2代目に発展した。

 また、2014年には量産FCV「MIRAI」を日本で発売し、その後、米国・欧州でも発売。こうした取り組みにより、トヨタが世界で販売した電動車は、累計1100万台を超えているという。

 今後、より良い電動関連車を開発するため、電動車のコア技術のある電池については、次世代電池として性能向上が期待される全固体電池を、2020年代前半での実用化を目指し開発を進めている。

 また、業界ナンバーワンの車載用角形電池を実現し、トヨタのみならず、広く自動車メーカーの電動車の普及を目指し、パナソニックと車載用角形電池事業アライアンスを先日発表したばかりだった。

 寺師茂樹副社長は、「すべてのクルマの電動化に重要なのは、数百倍数千倍にのぼる電池の生産能力の確保」にあるとし、「パナソニックとの協業で、電動化へ残されていたピースが揃った」と語った。

 トヨタは今後、電動車の普及を支える社会基盤の整備にも力を入れていく予定、電池のリユース・リサイクルの仕組みづくりや、充電ステーション構築のための積極的な取り組みを進める。また、水素ステーションの整備についても、関係機関やパートナー企業と協力しながら、積極的に取り組んでいくという。(編集担当:吉田恒)