労働改革、「心理的安全性」の認知度、リーダーの5割強、「必要だ」7割強

2018年01月18日 06:36

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グーグル社が労働改革調査の結果として16年に公表した報告書で用い注目をあびるようになった概念「心理的安全性」。人材サービス企業がチームリーダーを標本に意識調査。この概念の認知度は5割強、「必要と思う」は7割強。

 新しいマネジメント概念が注目をあびている。「心理的安全性」という概念だ。「心理的安全性」という概念は、「チームの構成メンバーの1人ひとりが気兼ねなく発言でき、自然体の自分で安心していられる場の状態や雰囲気」を表す。この概念自体は1999年からあるそうだが、にわかに注目をあびるようになったのは、米グーグル社の労働改革プロジェクトの結果が16年に公表され、この中で「心理的安全性」が生産性向上のカギと位置づけられたことが大きい。

 経営学では1920年代のホーソン実験以来、チームの人間関係が生産性に大きく影響するとされてきた。「心理的安全性」概念は情報社会の中でメンバー間の情報共有のあり方がより生産効率に影響を与えるという側面を強調しているものだとも言える。

 人材サービスのリクルートマネジメントソリューションズは12日、3名以上のチームのリーダー516名を対象に昨年6月に実施された「心理的安全に関する実態調査」の結果を公表した。

 調査結果によれば、「心理的安全性の認知度」は、「詳細まで知っている」が6.0%、「およその意味を知っている」19.6%、「聞いたことがある」27.9%、一方、「知らない」が46.5%で、半数以上の53.5%のリーダーがこの概念を認知している。

 この概念の内容について伝えた上で「心理的安全性は必要か」と尋ねたところ、「必要である」36.4%、「やや必要である」38.8%で、75.2%と7割強のリーダーがその必要性を感じている。

 「必要である・やや必要である」と答えた者の職場環境の特徴を見ると、「常にメンバー間で連携・情報共有しながら仕事を進める必要がある」、「多様な立場や領域の考え方をまとめる必要がある」などの特徴が見いだせる。「必要ない」の理由では、「ネガティブな感情が出される」、「いろいろな意見が出されると組織がまとまらなくなる」などの負の側面が強調されている。

 「心理的安全性」の担保は常に生産性向上に直結するものではなく、職場環境・業務環境によって正負の影響の度合いに違いがありそうだ。しかし、情報化の進展でメンバー間の自由なアイデアや情報の共有が重要になってきていることだけは間違いない。インフォーマルなコミュニケーションは日本企業の得意とするところであるが、情報化の進展に合わせより組織化された情報の共有を実現する上でも「心理的安全性」の概念は意識化されるべきものであろう。(編集担当:久保田雄城)