渡具知名護市長誕生に「大変心強く思う」菅長官

2018年02月06日 06:35

 菅義偉官房長官は5日の記者会見で、沖縄県の名護市長選挙で自民・公明・維新推薦の新人候補の渡具知武豊氏が、現職で民進党・共産党・自由党・社民党・地域政党の沖縄社会大衆党の推薦、立憲民主党の支持を得ていた稲嶺進氏を破り、初当選したことの受け止めを記者団に聞かれ「地方自治体首長選挙のことなので政府としてのコメントは差し控えたい」とした。

 そのうえで「地元の皆さんにとっては地域経済の発展、住民生活の向上について問われる極めて身近な選挙。今回当選の氏は名護市議を5期務め、生活向上や経済振興を訴えられ、市民の皆さんが判断されたと思う。大変心強く思う」と語った。

 自公推薦候補の当選で名護市辺野古への普天間代替基地の建設に弾みがつくと思うか、との記者団の問いには「知事を中心にオール沖縄といわれる人たちが押された候補者は辺野古への建設に反対の人ではなかったか。その人に3000票を超える差で当選された。生活向上、経済発展を訴えられ、市民が判断されたということになるのだろう」と述べた。

 年内に行われる沖縄知事選への影響については「一般論としてだが、知事選挙と今回の選挙は別のものと思う。生活向上・地域経済の発展という極めて身近な問題で判断されたと思う。知事選挙においても、そうした判断において示されることになるのではないかと思う」と述べ、基地問題の争点化を避けた。
 
 菅官房長官は辺野古への代替施設建設工事について「県から許可を頂いている。また、安全保障・抑止力の維持・普天間飛行場の危険除去へ、みなさんのご理解を頂きながら、住環境や他の環境にもしっかり配慮しながら(工事を)進めていきたい」とした。

 今回の選挙では渡具知氏は普天間の辺野古への代替基地建設には言及せず、地域経済の活性化を訴えた。

 日本共産党の志位和夫委員長は「(渡具知氏は)選挙戦を通じ、辺野古新基地問題を一切語らなかった。選挙結果は名護市民が辺野古新基地を受け入れたことを意味するものでは決してない」とコメントを発表。「各種メディアが行った出口調査で6割以上の名護市民が辺野古新基地建設反対と答えていることからも明らか」とした。

 社民党党首に今月下旬就任する又市征治幹事長は「相手陣営の辺野古移設問題の争点外し戦術に加え、自民党幹部や国会議員を連日投入した企業・団体回り中心の金権・組織選挙の展開、前回自主投票で辺野古移設反対の公明党の(渡具知氏への)推薦決定と国政選挙なみの態勢での支援など、安倍政権の大攻勢の前に残念ながら稲嶺氏は及ばず、苦杯をなめた」とコメントした。(編集担当:森高龍二)