人手不足対策で増加する外国人労働者

2018年02月08日 07:03

画・人手不足対策で増加する外国人労働者

ホテルや飲食業などをはじめ様々な業種で人手不足が深刻化している。そんな中存在感を増しているのが外国人労働者である。日本人だけで仕事を回していくことが難しくなっていることがこの実情からもうかがえる。

 日本で働く外国人労働者の数は1年前に比較しても18%ほど増加している。外国人労働者は5年連続で過去最高を更新しており、このことからも日本における労働力は外国人へのシフトが進んでいることがわかる。外国人労働者の数は2016年の10月の段階で108万人を超えており、6年間でおよそ倍の人数に増えるなど高い伸び率を示している。

 こうした外国人労働者の受け皿となっているのが企業の人手不足である。2017年の有効求人倍率は1.50倍となっており、この数値は1970年代とほぼ同じだ。ただし、この頃との違いは増えた求人に対してそれに応募する人が減っているという点にある。働き手が少なくなればその産業は衰退していくことにもなりかねない。そこで存在感を増しているのが外国人労働者である。

 たとえば現在、求人が特に伸びている業種といえるのがホテルや飲食業である。2020年の東京オリンピックを見据え、海外からの観光客も増えていることからホテルなどといった宿泊施設は開業が相次いでいる。その結果需要が増しているのが客室での清掃業務を担当する人手である。短い時間に作業が集中する清掃業務だが、これまではその業務については主婦が担い手として利用されてきたが、求人が出ているのは何もホテルだけに限ったことではないため、こうした層は他の業種との「獲りあい」となっている。

 そこでホテル側が目をつけたのが外国人労働者である。中でも日本語を勉強しに来日している留学生は貴重な労働力といわれている。ホテルや飲食業を営む業者の中には日本語を教える学校などから留学生を紹介してもらうといったケースもあるようだ。こうした事例からも、もはや日本人だけでは仕事を回すことが難しくなっているという実情がうかがえる。

 少子高齢化が進み、日本人の労働力人口が減少することは多くの人の知るところだが、人が足りないなら外国人を採用すれば良い、という単純な話でもない。外国人労働者を採用する最大の問題点は、やはり言葉の壁によるコミュニケーションだろう。また、日本人とは異なる価値観を持っていることから仕事に対する考え方も常識が通用しない場面もあるかもしれない。働く人が少ないから外国人を…という短絡的な発想ではなく、日本という国家全体で外国人労働者に対してのガイドラインを定め、必要に応じて企業と労働者双方のケアを行う、こうした地道な手続きも、労働力の確保には欠かせない。(編集担当:久保田雄城)