銀行の休業日といえば、土日や祝日などいわゆる平日以外の日である場合がほとんどだが、このほど金融庁では銀行の各支店の休業日として平日を指定することができるように規制を緩和する検討に入った。銀行の運営は、銀行法という法律に則って行われており、その法律では平日以外に休業日を設定することはできないと定められている。今回の規制緩和によって、銀行の各支店ごとに平日でも休業日を設定することが可能となる。
銀行の休業日を平日とすることについての背景には様々な要因がある。そのひとつが人材不足による問題だ。地方銀行では、地域に密着した細かいサービスの対応が大きな特徴となっているものの、過疎地などでは人手不足からこうしたサービスへの対応が難しい場合も少なくない。銀行が平日に休業することで、より柔軟なサービスの対応も可能になるのではないか、との判断から今回の規制緩和の検討につながったといえるだろう。
また、もうひとつの要因ともいえるのが政府主導で行われている働き方改革である。有給の取得を推奨したり、残業時間の適正化など様々な部分についてそれぞれの企業ごとに様々な取り組みが行われているが、こうした働き方改革の目的は従来の常識にとらわれない働き方を行うことで生産性を向上させるという点にある。銀行についてもこれまでの枠組みにとらわれないサービスの充実が求められていることを考えると、こうした平日を休業日とする検討についても十分価値があるといえるのではないだろうか。
金融庁の提言する規制緩和が実現すれば、銀行は店舗ごとに休業日を隔週で決めることができるようになる。その結果、一人の行員で二つの店舗を掛け持ちで出勤するといったことも可能となるため、コストの削減などの効果が期待できる。最近ではインターネットバンキングの普及に伴い窓口へ足を運ぶ顧客も少なくなっていること、さらに人材不足から店舗の統廃合も少なくないが、こうした働き方ができるようになれば、店舗を無くすことなく必要な人材を確保することが可能だ。
もちろん銀行が平日休みともなれば顧客に対してのサービスの低下につながるのではないかという懸念もある。規制が緩和されたからといって銀行が平日を休業日になるためには様々な議論が必須だが、銀行のこうした動きは世の中の働き方に大きく影響を及ぼすことは間違いないだろう。(編集担当:久保田雄城)