ホンダジェット、2017年デリバリー機数、セスナを抜いて世界一に

2018年02月25日 16:50

HondaJet World.1

エンジンを主翼の上にレイアウトする独特の設計の機体「ホンダジェット」。カタログ価格は450万ドル(約4億8000万円)ほど

 ホンダの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は、「HondaJet(ホンダジェット)」の2017年暦年(1月〜12月)におけるデリバリー数が、前年比20機増の43機となり、小型ジェット機カテゴリーにおいて、米セスナの主力機「サイテーションM2」を抜いて第1位を獲得したと発表した。全米航空機製造者協会(GAMA)がまとめた集計で明らかになった。

 ビジネスジェット市場はグローバルで概観すると成長が鈍化しているが、ホンダジェットのカテゴリーであるパイロットも含めた乗員10人未満の「超小型機部門」は前年と比べ需要が5割ほどの大きな伸びを示している。ホンダは、二輪車、四輪車に続く収益源に育てる考えだ。

 ビジネスジェット機全体の市場規模は、676機で前年比1.3%増。3年ぶりに増加に転じたが需要がピークだった2008年と比べ半減している。

 ただ、先に述べたように乗員10人未満の超小型機は、北米や欧州では主に都市間の移動に使われ、小回りの利く飛行手段として、富裕層や企業のプライベート機、あるいは航空機運航会社の近距離運行の需要が伸びている。

 ホンダジェットは、2015年12月に米国連邦航空局(Federal Aviation Administration)から型式証明を取得し、2015年から2017年にかけて欧州、カナダやブラジルなどでも型式証明を取得。2018年1月には中国におけるディーラーが稼動を開始したほか、フランスのエアタクシーサービス提供会社のWijet S.A.から16機のオーダーを受けるなど、事業を拡充させている。

 ホンダジェットは、主翼上面のエンジン配置形態や自然層流翼型、一体成型複合材胴体などの独自開発技術により、クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能を持ちながら、高い静粛性および広い室内サイズを実現した小型ジェット機だ。また、燃費性能も競合機と比べて最大2割ほど高い。

 ホンダは1986年、極秘裏にジェット機とジェットエンジンの開発に着手した。航空機参入は創業者である本田宗一郎氏の幼少時代からの夢だったとされる。
 
 ホンダジェットのカタログ価格は450万ドル(約4億8000万円)。単純計算で年間売上高は200億円程度。年内に米ノースカロライナ州の工場で生産機数を月4機から5機に引き上げて旺盛な需要に応える。(編集担当:吉田恒)