ホンダが約30年かけて機体とエンジンを開発した「HondaJet」。主翼上面のエンジン配置「Over-The-Wing Engine Mount (OTWEM)」形態や自然層流翼型、一体成型複合材胴体などホンダ独自開発技術の採用する
ホンダ技研の航空機事業子会社であるホンダ・エアクラフトカンパニー(Honda Aircraft Company/HACI)が生産販売する「HondaJet」が、小型ジェット機カテゴリーにおいて、2017年上半期(1月?6月)の最多のデリバリー数を達成したと発表した。これは、ジェネラルアビエーションの業界団体General Aviation Manufacturers Association(GAMA)による発表に基づいた報告である。
HACIは2017年上半期、小型ビジネスジェット「HondaJet」を24機、顧客に引き渡し、超小型機セグメントで米セスナなどを上回り最多となった。富裕層などの需要トレンドを捉えた結果とされている。現在、「HondaJet」は1カ月に4機のペースで生産している。2019年には月6~7機体制に引き上げる計画だ。
「HondaJet」は乗員を含めて7人乗りの超小型機。ホンダ創業者の本田宗一郎氏が実用化を目指した新事業で、約30年かけて機体とエンジンを開発した。主翼上面のエンジン配置「Over-The-Wing Engine Mount (OTWEM)」形態や自然層流翼型、一体成型複合材胴体などホンダ独自開発技術の採用により、クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した小型ビジネスジェットだ。2015年末に実用化し、北米、欧州、中南米および東南アジアで販売され、企業の経営層や航空運航部門およびチャーター会社などに納品した。
一方で三菱重工業のジェット旅客機「MRJ」は開発が遅れ、格安航空会社(LCC)などの受注機会をつかめていない。MRJは席数70~90席程度で、2015年に初飛行した。が、初号機の引き渡しは、5度の延期の末に20年半ばとされている。LCC各社は運航拡大を進めており、100席前後の航空機の需要は大きいとされる。しかし、今年の航空ショーでMRJの受注はゼロだったという。
HondaJetとMRJの目指す用途や顧客層、開発コンセプトが大きく異なる。そのため単純な比較はできない。が、市場のトレンドを巧く捉え好調なホンダ、受注件数を増やせない三菱。国産旅客機に明暗がくっきりと浮かんだ恰好だ。(編集担当:吉田恒)