厚労省調査のデタラメデータ新たに233件

2018年02月27日 07:14

 一般労働者への調査では最も長い労働時間を聞き取り、裁量労働者へは平均的な労働時間を聞きとり、それを比較して「裁量労働制の方が一般労働者より労働時間が短い」とするなど、厚生労働省の2013年度労働時間等総合実態調査のデタラメ加減が26日にも新たに明らかになった。政府の諸データに対する信用にも影響を与える深刻な事態になりつつある。

加藤勝信厚生労働大臣は26日の衆院予算委員会で、裁量労働制拡大に関する働き方改革関連法案の資料に使われた厚労省調査資料で、新たに233件の異常データのあることを明らかにした。立憲民主党の長妻昭元厚労大臣の質問に答え、明らかになった。

デタラメなデータをもとに裁量労働制拡大が労働者にもメリットがあると主張する政府答弁に信用性がなくなってきており、2013年度調査資料について精査を続けることはもちろん、裁量労働制拡大検討には新たに裁量労働の現状把握調査をすることが必要になりそうだ。

 長妻議員は安倍晋三総理にさきの答弁撤回のみでなく、データの撤回も行うよう求めたが、安倍総理は「厚労省が精査している」として、「精査中にデータ自体を撤回するのも適切でない」などと述べ「精査することが大切だ」と答えるにとどまった。長妻議員は「総理は考え直すべきだ」と強く求めた。

 日本経済団体連合会など経済界は裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度の創設を強く求めており、施行時期を1年遅らせるという政府の方針にさえ「当初計画通り施行すべきだ」(榊原定征経団連会長)と政府に釘をさす始末だ。このまま裁量労働制拡大などを盛り込んだ法案を提出し、数の力で成立させれば、経団連いいなりの経済・労働政策との安倍政権への批判は免れない。(編集担当:森高龍二)