政府統計の改革計画を閣議決定。EBPM、ユーザー視点を考慮

2018年03月12日 07:56

画・政府統計の改革計画を閣議決定。

6日、政府は、ICT革命等の社会経済情勢の変化に適合するため、統計改革の方向性を決める第3期「公的統計基本計画」を閣議決定したことを発表。証拠に基づく政策立案、ユーザー需要拡大等を踏まえ。

 2007年の統計法の全面改定以降、政府は公的統計の整備を行っている。3月6日、政府は統計改革の方向性を確かなものとするため、18年度を始期とする第3期の公的統計基本計画を閣議決定した。

 現在の日本の政府統計が整備されたのは主に戦後復興・高度成長の時期であり、商工業にウエイトが置かれた統計制度であるといえる。しかし、経済の発展にともなって産業構造はサービス業化し、またICT技術の発展によってユーザー需要の質と量は大きく変化してきている。こうした社会情勢や技術の変化に対応できるようにすることが今回の公的統計整備の目的である。

 「基本計画の概要」を見ると、4つの柱が掲げられており、「EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)推進体制の構築」が1つめの大きな柱となっている。政府統計の目的の第一義は、政策立案の基礎資料を得ることにあるが、情報処理技術の進展によって、政策ニーズに沿ったより精緻な情報の収集が求められている。

 昨年5月に閣議決定された「官民データ活用推進基本計画」において、統計データ等を積極的に活用するEBPMの重要性が強調されている。こうした調査を円滑に遂行するためには、調査設計等において、外部の声を把握するとともに報告者の負担軽減に配慮することが重要であるとされている。

 次に、「GDP統計を軸とした統計改革・改善」である。グローバル化が進展する中、精緻な国際比較が可能なGDP統計は重要である。従来の商工業にウエイトを置いた推計から、建設、不動産、医療、介護及び教育等の業種も高い精度で取り込んで行く必要がある。

 「ユーザー視点に立った統計データ等の利活用促進」ではICT技術の進歩にともなって統計ニーズが多様化していることを踏まえ、政府統計の総合窓口サイト(「e-Stat」)の機能強化や再構築が唱えられている。

 「統計業務・体制の見直し、基盤強化等」では「EBPMを推進するための人材の確保・育成等に関する方針」に基づき、若手研究者や自治体職員、調査員等の外部人材の支援と育成によって、人材層の総合的な構築のために必要なリソースを確保するとされている。

 この他、家計調査のオンライン家計簿の導入や四半期別法人企業統計調査の早期化、不在者対応やオンライン調査の利用促進等、調査協力者の負担軽減をはかることで、より迅速で正確な景気判断と人口減少社会をより的確に捉える統計の整備が唱えられている。(編集担当:久保田雄城)