森友学園への国有地大幅値引き売却に係る財務省決裁文書改ざん問題をはじめ、財務省が学園側に「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」と口裏合わせを要請した疑惑の浮上。防衛省では陸自イラク派遣部隊の日報隠ぺい疑惑が空自でも浮上。厚労省では裁量労働制拡大根拠の一部資料がデタラメデータなどなど国会・国民への背信行為が安倍政権で相次いでいる。
国家戦略特区では加計学園獣医学部新設認可経緯の不透明さも払拭されないままになっているため、岡山理科大獣医学部の成果は今後6年間を注視していかなければならない状況になった。
重要な判断に至った経緯を検証する資料が行政側の都合で廃棄、改ざん、隠ぺいされれば、国民は正しい判断が出来ず、虚偽情報により、時の政府に動かされることになる。民主主義の根幹が崩壊することを意味する。
国会追及や世論に押され、廃棄したとの国会答弁が覆り、資料が存在していたことや改ざん前文書が明らかになった。再発防止策を講じるにしても、国民が国政に常に目を向け続けなければ、こうした問題は今後も起こる可能性は消えない。
安倍内閣は安保法制整備の際、憲法9条の下では「行使できない」としてきた歴代政府の「集団的自衛権行使」に対する憲法解釈を「一部行使は認められる」と変更し、閣議決定した。
その際にも、内閣法制局が内部で検討した経緯を公文書として残していなかった。どういう議論があり、どういう経緯で憲法解釈を変更するに至ったのか。自由討議での意見も含め、ことは憲法解釈変更という重大事案だっただけに、当然、細かいメモさえ、意思決定過程を検証する歴史資料として後世のために残す貴重な意味を持つものだったはずだ。
それを残していない、という。この件に関して内閣法制局が公文書として保管しているのは安倍総理の私的諮問機関だった「安全保障法的基盤の再構築に関する懇談会」の資料、与党協議会の資料、閣議決定の案文のみという。しかし、これだけ「残っていない」としてきた資料が「存在する」事例が相次げば本当に残っていないのか。
集団的自衛権に関する解釈変更以降、安倍政権下で不都合な資料を残さない土壌が蔓延してしまったのではないかとの危惧もある。
安倍内閣は「そうではない」と否定するなら、徹底して、森友問題、防衛省日報問題の真相を解明し、国会の場で明らかにしていくべき。森友問題は行政への信頼を揺るがす大問題、日報問題は自衛隊に対するシビリアンコントロールができているのか、いないのかに関わる大問題だ。国民の納得できる厳格な対応を求めたい。(編集担当:森高龍二)