原材料費の高騰が原因か、景況感2年ぶり悪化

2018年04月12日 06:23

画・原材料費の高騰が原因か、景況感2年ぶり悪化

日本銀行が発表した短期経済観測調査では多くの企業が景況感について悪化している。2年ぶりの景況感の悪化に危機感を募らせる人も多い。

 日本銀行の3月短期経済観測調査によると、企業の業況判断指数がおよそ2年ぶりに悪化に転じたと発表した。企業の景況感はここ数年の間景気拡大というイメージが先行していたものの、ここにきて景況感が悪化している背景には何があるのか。景況感は、あくまでも企業側の雑感ではあるものの、経済に対する影響についても決して無視することができないものとなっており、日本銀行も対応する必要が出てきそうだ。

 企業の景況感が悪化している要因には様々なものがある。たとえば政権に対する不信感などもそんな要因のひとつといえるだろう。ただし、これらはあくまでも間接的な要因であり、直接的な要因といえるのが原材料費の上昇である。日本経済というのは製造業が大きな役割を担っているが、原材料費の上昇は製造業に大きな影響を及ぼすことになる。原材料費が高くなれば必然的に原価が上昇することになるものの、かといって販売価格に反映すれば商品が売れないという結果になりかねない。価格に転嫁しなければ利益が縮小し、どちらにしても業績悪化という結果となる。

 また、原材料費の上昇とともに景況感の悪化の要因となっているのが人手不足による人件費の上昇だ。今や人手不足というのはどの企業・業態であっても大きな課題となっているが、それだけに優秀な人材の他社への流出は避けなければならない。そのため、人件費の上昇は多くの企業で行われていることであるとともに、政府が進める「働き方改革」などから職場環境の変化なども景況感の悪化につながっているとみる動きもある。

 ただし、こうした景況感の悪化はあくまでも日本国内だけであり、世界的にみると経済全体が悪化しているというわけではない。そのため、日本国内だけが不況になるという可能性は低く、景況感の悪化についても一時的な落ち込みとするのが日本銀行の見通しである。確かに経済というものはただ日本国内だけの状況を見ていれば良いというわけではないし、様々な要因を多角的に判断することが重要となる。

 とはいえ、今後日本国内の景況感が改善すると判断できる材料が少ないというのもまた事実である。景気が悪化すればそれだけ消費も低迷することになり、日本銀行の掲げる「物価上昇率2%」という目標達成も難しくなる。景気がこの後どのような推移をたどるのか、ということについては不透明な部分も多く、楽観視することができないのが現状だろう。(編集担当:久保田雄城)