熊本地震後における被災地の景況感は震災直後に景気DIが大きく悪化したのち急速に改善

2017年04月19日 07:29

 4月14日で、熊本地震が発生してから1年が経過した。この間、被災企業の施設の復旧等に対する補助制度である「グループ補助金」や日本銀行による「被災地金融機関支援オペ」など、さまざまな支援策が講じられたこともあり、復旧・復興が進んでいる。こうしたなか、被災地域の景気動向も大きく変動してきた。

 他方、被災地に所在する企業と取引がある企業は、全国で延べ約3万1,000 社にのぼるうえ、県外企業が所有する被災地域の営業所・工場等の拠点は2,065 件あるなど、影響が及ぶ範囲は全国に広がる。また、熊本地震を要因とする倒産も判明してきている。そこで、帝国データバンクは、熊本地震後の景況感の変化と倒産動向について、調査を実施した。

 それによると、熊本地震後における被災地の景況感は、震災直後に景気DIが大きく悪化したのち、その後急速に改善したという。特に「熊本県」の景気DI の変動は大きく、震災後に落ち込んだ2016年5月から2017年3月には20ポイント近く増加した。「大分県」の景気DIも同10ポイント以上増加した。こうした景況感の急速な改善を受け、「熊本県」の景況感は全国47都道府県別にみて2016年10月以降第 2 位となり、「大分県」も2017年1月には第 5 位まで上昇した。

 「熊本県」「大分県」の「売り上げDI」「生産・出荷量DI」「設備稼働率DI」は、いずれも震災1カ月後に大きく悪化。その後、企業からみた融資の積極度を表す「金融機関の融資姿勢 DI」が大きく改善するとともに、各種DIも大幅に改善。金融機関の積極的な金融支援が企業活動の急回復の支えとなったとしている。

 熊本地震関連倒産は12件判明した。地域別では、「熊本県」が7件、鹿児島県や長崎県など「その他の地域」が5件となり、「熊本県」が 58.3%を占めた。(編集担当:慶尾六郎)