現在、政府によって働き方改革が推進されている。生産年齢人口の減少の中、「ワークライフバランスの実現」や「介護・育児との両立」など多様なライフスタイルに対応できるように多種多様な働き方を推し進めていくためだ。こうした取り組みの中に「フリーランスの推進」というものも含まれている。
クラウドソーシング業のランサーズ(渋谷区)が今年2月に全国の20~69歳男女3096人をサンプルに実施した「フリーランス実態調査(2018年版)」の結果を公表した。
調査結果によれば、2018年調査時点でのフリーランスの人口は1119万人で前回17年の1122万人と比べ3万人減少し横ばい傾向である。経済規模の推計額は約20.1兆円で17年の18.5兆円から1.6兆円の増加となった。
フリーランスという働き方に満足していると回答した者は51%で、その理由を複数回答で答えてもらった結果、「自分の能力を生かせていると感じる」が57%で最も多く、次いで「収入が増えた」が32%、「ワークライフバランスが良くなった」が31%、「家族との時間が持てるようになった」が28%の順となっており、ワークライフバランスの改善では効果がありそうな結果だ。
フリーランスのメリットを複数回答で答えてもらったところ、「時間や場所に縛られず、自由で柔軟な生活ができる」が44%で最も多く、「生活費や家計費の補助ができる」36%、「自分の将来を自分で決めることができる」33%と続く。
「自由な働き方を妨げているものは何か」を複数回答で答えてもらったところ、「収入がなかなか安定しない」が45%で圧倒的に多く、次いで「社会的信用を得るのが難しい」が17%、「仕事がなかなか見つからない」が16%となっている。
「仕事を探す経路」については知人の紹介など「人脈」が57%で圧倒的に多く、次いで「過去・現在の取引先」が18%、「WEB・SNS等での広告宣伝」が15%、「雑誌・新聞などでの広告宣伝」が8%という順になっている。
フリーランスは仕事時間の自由度が増え、自分の生活事情に合った仕事の仕方ができワークライフバランスの改善には効果的だ。しかし、その一方で収入の不安定さというデメリットも大きい。しかも十分な社会保障制度も存在しない。フリーランスという働き方を普及させるにはセイフティーネットとしての同一労働同一賃金や社会保障制度の拡充などフリーランスの環境を整備することがまず必要であろう。(編集担当:久保田雄城)