厚生労働省が「労働者派遣事業報告書」(2017年6月1日現在)を公表。派遣労働者数は約156万人で対前年比19.4%の増加。うち、製造業務に従事した派遣労働者数は約29万人で対前年比32.6%の増加。
労働者派遣事業については今年2018年、2つの大きなイベントが存在する。まず1つめは、2013年に改正された労働契約法において「無期労働契約への転換」というルールが定められ、今月、2018年4月より無期雇用派遣という雇用制度が誕生する。もう一つは、2017年の労働者派遣法の改正によって廃止された特定派遣事業が今年18年9月に完全に終了する。
先月30日、厚生労働省は「労働者派遣法」に基づいて派遣事業者に報告が義務づけられている6月1日現在の運営状況をとりまとめた「労働者派遣事業報告書(平成29年6月1日現在の状況報告)」を公表した。
報告書によれば、17年6月1日現在の一般労働者派遣事業の事業所数は2万2152事業所で、前年16年6月1日と比べ21.2%の高い伸びとなった。(旧)特定労働者派遣事業の事業所数は4万8582事業所で前年と比べ4.0%の減少であった。両者を合計した事業所数は7万734事業所で前年と比べ2.7%の増加となっている。18年9月の特定派遣の完全終了を前に一般派遣への転換が行われている様子がうかがえる。
17年6月1日現在の派遣労働者の実人員は156万662人で、前年の130万3776人と比べ19.4%の増加となっている。内訳を見ると、登録型の労働者派遣が135万5598人で前年に比べ27.8%の増加と大きな伸びを示している一方、特定労働者派遣は20万5064人で前年と比べ16.7%の大きな減少となっており、特定派遣の廃止を受けて特定派遣から一般派遣への転換が進んでいるようだ。
無期雇用と有期雇用の内訳をみると、無期雇用派遣は39万7528人で前年と比べ16.9%の増加、有期雇用派遣は116万6164人で20.3%の増加となっている。登録型派遣の無期雇用は23万5293人で前年と比べ66.0%と大幅な伸びとなっており、新制度の施行前に無期雇用への転換をはかるケースが増えた様子をうかがうことができる。
業務別にみると、製造業務に従事した者が28万8070人で、全派遣労働者の18.5%を占め、前年と比べ32.6%の増加と高い伸びを示している。
景気の緩やかな回復傾向の中で派遣労働者数は製造業務を中心に全体として増加傾向だ。その中で無期雇用転換や特定派遣の廃止という新制度に備えた対応が行われているようである。(編集担当:久保田雄城)