戦闘拡大「特措法の戦闘行為に当たらず」防衛相

2018年04月19日 06:15

 小野寺五典防衛大臣は16日の記者会見で、自衛隊イラク派遣部隊の2006年1月22日付の日報に『イギリス軍に対して武装勢力が射撃したことで、戦闘が拡大』との記述があることについて、派遣を「非戦闘地域に限った」としたこととの整合性について「自衛隊が活動した地域は、いわゆる『非戦闘地域』の要件を満たしていたものと考えている」とし「イラク復興支援特措法に基づき、自衛隊の活動が行われたという認識に変わりはない」と答えた。

 小野寺大臣は「今回の日報に複数箇所で『戦闘』という文言が使用されていることについては認識している」としたうえで「2006年1月22日の記述の後、同日付の日報には、このサマーワを含むムサンナ県全般の情勢の評価として『比較的安定、しかしながら油断は出来ず』という記述があるということも確認している。当時、隊員は緊張感を持って、しっかりと対応してくれたものと思っている」と答えた。

 また非戦闘地域の要件を満たしているとする根拠について「ある行為が、イラク特措法第2条3項で定義された『戦闘行為』(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為)に当たるか否かの判断に当たっては、当該行為の実態に応じ、国際性、計画性、組織性、継続性の観点から、個別具体的に判断するべきものだと思っている」とし「国内治安問題にとどまるテロ行為、散発的な発砲や襲撃などのように、組織性や計画性、継続性が明らかでなく、偶発的なものと認められ、それらが全体として、国又は国に準ずる組織の意志に基づいて遂行されていると認められないようなものは、イラク特措法にいう『戦闘行為』に当たらない、というのが政府の今までの解釈だ」とこれまでの国会での政府答弁を踏まえた解釈を示した。

 また日報の扱いについて小野寺大臣は「現場の隊員が緊張感を持って対応した状況が分かる一次資料として貴重なものと認識している。こうした日報については保存期間を10年とし、その後は国立公文書館に移管する」と述べた。(編集担当:森高龍二)