NYダウは9ドル安。アメリカン航空とUSエアーの大型合併が伝えられ雇用統計が予想以上に良くても相場の過熱とG20警戒感で下がるのは、日本と似たような状況。ユーロ圏GDPがマイナス0.6%で前期のマイナス0.1%より悪化してECBの利下げ観測も高まってユーロ安になり、それに引きずられたドル安で15日朝方の為替レートは、ドル円は92円台後半、ユーロ円は124円台前半と円高が進行。東京市場の焦点は「どこで下げ止まるか」だった。
日経平均始値は68.07円安の11239.21円。ユーロ安が進行しても前場の終値は11207円で底堅い展開。ところが、昼休みにロイター通信が「日銀次期総裁は武藤敏郎氏を中心に絞り込まれている」と報じると、元財務事務次官で金融緩和に対し穏健派の武藤元副総裁を市場が嫌気して後場は一時200円安を超える一段安。G20待ちに「利益確定売りの金曜日」も加わって11100円を割り込んだ。しかし、ここから最近の金曜名物「午後2時台のリカバリー」が復活。日経平均を100円以上戻して後場の「武藤ショック」を打ち消し、133.45円安の11173.83円で、G20を前にポジション調整売りも出てモヤモヤ感の漂った今週の取引を終えた。売買高は45億株で40億株以上のレベルに復帰し、売買代金2兆円以上の水準は依然、継続している。
業種別では上昇したのは電力・ガスの1業種のみ。下落率が高かったのは銀行、パルプ・紙、海運、非鉄、証券、建設など。
銀行、証券はおしなべて悪く、みずほ<8411>は一時19円安まで下げ終値は12円安だった。三菱UFJ<8306>、野村HD<8604>も2ケタ安で、三井住友FG<8316>は120円安だった。輸出関連銘柄もトヨタ<7203>は90円安、ホンダ<7267>は55円安、ソニー<6758>は25円安と不振だったが、みずほに次いで連日売買高2位、売買代金2位のマツダ<7261>はこの日、3円高で5日ぶりに反発した。
値上がり率1位に石油大手の昭和シェル石油<<5002>が入った。前日発表された12月本決算は減収減益だったが、2013年12月通期で営業利益3.1倍、経常利益3.6倍、純利益26倍と利益V字回復の業績見通しが評価され+13.27%の69円高になった。ドラッグストアのマツモトキヨシHD<3088>は昨年来高値を更新し82円高。自主企画商品(PB)の売れ行きが良く前日発表した決算で過去最高の純利益をあげ、年間配当の見通しを10円積み増したことも好感された。アサヒGHD<2502>、ニコン<7731>、太陽誘電<6976>は続伸している。
38円高の住友ゴム<5110>、+25.41%上昇のガンホー<3765>のように決算内容の良さが素直に評価される銘柄がある一方、新聞に出た買い材料があっても地合いの悪さがたたって下落する銘柄が目立ったのもこの日の特徴。オランダの運用会社を買収したオリックス<8591>、スマホ部品の新工場建設を発表した京セラ<6971>、来期増配見通しのキリンHD<2503>、決算が良かった横浜ゴム<5101>、東洋ゴム<5105>、ポーラ・オルビスHD<4927>、リブセンス<6054>、楽天<4755>などが揃ってマイナスになっている。
決算が悪かったトレンドマイクロ<4704>は当然のように167円安でファナック<6954>などとともに日経平均を大きく押し下げ、業績見通しを下方修正した北越紀州製紙 は46円安で値下がり率7位に入っている。
今日の主役は内需ディフェンシブ系の代表格「電力株」。東証1部全銘柄の83%が下落する全面安の中でも沖縄電力を含めた10電力全て株価が上昇するという“快挙”。卸電力会社のJパワー<9513>も値上がり率ランキング9位に入り、業種別騰落率で電力・ガスは+3.16%で唯一のプラス、ダントツの1位になった。値上がり率5位には前日に家庭用11.41%の料金値上げを申請して被災地の怒りを買った東北電力<9506>、6位には値上げ申請済みの九州電力<9508>、10位には3月までに値上げについて最終判断する北海道電力<9509>が入った。13位の東京電力<9501>も19位の関西電力<9503>も値上げ申請済みで、家庭用電気料金の値上げ話が出ている電力会社ほど株価の値上がり率が大きかった。(編集担当:寺尾淳)