【日経平均】株価も売買も一服感で日経平均は117円安

2013年02月13日 19:25

 NYダウは47ドル高で14000ドル台に乗せたが、為替レートは右往左往した。「為替レートを目標にしないと再確認する」というG7緊急声明でいったん円安に振れたが、G7関係者が匿名を条件に「声明は誤解されている」と言ったり、カナダ中央銀行のカーニー総裁が「G20で協議する可能性がある」と日本円に言及したため一転、円高が進行。13日朝方はドル円は93円台前半、ユーロ円は125円半ばになっていた。

 日経平均始値は35.40円安の11333.72円と小幅安。押し目買いも入って前場はずっと小幅マイナス圏の小動きで推移した。オバマ大統領の一般教書演説が始まった後の後場はドル円92円台、ユーロ円124円台に円高が進行して、先物主導で11200円台に下落。一時は11200円も割り込んだが、終値は117.71円安の11251.41円で引けた。小型株が悪くてTOPIXは-11.48の957.02と下落幅が大きかった。売買代金は2兆円を超えたが売買高は38億株で2月1日以来の40億円割れ。話題の焦点が日銀次期総裁人事に移っても金融政策決定会合の結果待ちに「週末のG20待ち」も加わる様子見ムードで、株価も売買も「ちょっと一服」という感じだった。

 株価が上昇した業種は紙パルプ、鉱業、保険、食品の4業種のみ。下げた業種は海運、証券、鉄鋼、非鉄、電力・ガスなどだった。

 円高進行で輸出関連株は全面安で、トヨタ<7203>は4日ぶり反落で90円安。マツダは売買代金1位でも8円安。ソニー<6758>、パナソニック<6752>、シャープ<6753>は揃って下落し。鉄鋼株も不振だった。メガバンクも下げて野村HD<8604>は18円安。一方でオリコ<8585>とアイフル<8515>のノンバンク兄弟が3円高、10円高で売買高ランキングの6位と5位に仲良く入ったのが目立った。

 一方、内需系はおおむね好調で、情報・通信はNTT<9432>は昨年来高値を更新して25円高。KDDI<9433>、NTTドコモ<9437>もプラスだったが、ソフトバンク<9984>は75円安。医薬品株ではアステラス製薬<4503>が買われ、JT<2914>、高島屋<8233>、資生堂<4911>も好調だった。

 ダイキン<6367>は4~12月期の経常利益が11%増だったが225円の大幅安。アナリスト予測に達しないという理由だけだろうか。通期業績見通しを下方修正したオリンパス<7733>は57円安だった。昼休みに決算を発表した日揮<1963>は増収増益でも通期業績見通しが据え置きだったためか66円安。

 パイオニア<6773>が800人削減を発表し24円安で値下がり率11位。シチズンHD<7762>は870人削減を発表して23円安。富士通<6702>はリストラで上がったが、必ずしもリストラ=株価上昇とはいかないようだ。

 ネット系では海外事業の不振で255億円の特別損失を計上した楽天<4755>が22円安。「コンプガチャ問題」の影響と新作タイトルの出遅れで通期業績見通しを増益から上場以来初の減益に下方修正したグリー<3632>は207円安と売り込まれ値下がり率3位。DeNA<2432>も67円安と悪かった。昨年12月のマザーズ上場後、株価が一時、公募価格の約10倍になったバイオ系のスーパールーキー、ユーグレナ<2931>は決算内容への失望で一時ストップ安。ついにミドリムシの化けの皮がはがれた、か。

 アマダ<6113>がミヤチテクノス<6885>を買収すると報じられ、アマダは20円安だったがミヤチテクノスは一時ストップ高の150円高。レーザー技術を持ち光ファイバー関連として一時もてはやされたが、アメリカの「ファイバーバブル崩壊」、日本の「ITバブル崩壊」を経て長く沈んでいた銘柄で、技術力を考えれば約100億円のTOB価格は安い買物だろう。値上がり率ランキング1位はロウソクの火が消える前の最後の輝きか。

 今日の主役は好決算に引っ張られ、業種別騰落率で数少ないプラスになった「保険株」。4~12月期の純利益が3.3倍と好調だった生命保険大手のT&DHD<8795>は57円高で値上がり率13位に入った。決算発表前だった第一生命<8750>も大幅高。「三大メガ損保」と呼ばれる東京海上HD<8766>は8円高、MS&SDHD<8725>は11円高だったが、NKSJHD<8630>は後場に下げて36円安。イニシャルばかりでわかりにくいが、T&Dは太陽生命と大同生命、NKSJは日本興亜損保と損保ジャパン(旧安田火災)、MS&SDは三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保の、それぞれの持株会社。そうした大手保険会社は、最大13行あった都市銀行とともに、「安定性と好待遇」でバブルの頃まで大学生の就職人気上位を占め続けた。当時入社した「ベスト&ブライテスト」たちはその後、業界再編の嵐が吹き荒れる中、どんな運命をたどったのだろうか。(編集担当:寺尾淳)